猫はいつ日本にやってきたのか~古墳時代の動物事情~


 

素人なりに歴史を少しでもちゃんと学びたいと思い、尊敬する大編集者・Yさんが立ち上げられた出版社・敬文舎さんが主催する「日本歴史文化講座(ヒスカル)」の講座に通っています。

古代の日本は大好きなんですけど、例のごとくつまみ食いで、ちゃんと勉強したことのない私にとっては、専門的な内容も含めてわかりやすく説明してくださるので、毎回とても勉強になっています。

さて、昨日は、講座の聴講生の皆さんとYさんと、講師のH先生を囲んでお茶をされるというので、そこに混ぜていただきました。

そこでも先生がいろいろ話をされていて楽しかったのですが、中でも『古墳時代の動物事情』ともいうべきお話がまたおもしろかった!

講座でも、馬や牛が古墳時代にどうだったか、というお話はよく出てきていました。魏志倭人伝には牛馬は倭の国にはいない、という有名な記述があるそうなのですが、それも、断定はできません。

日本最古の痕跡としては、箸墓古墳の周壕から馬具が発見されたそうで、これが4世紀初頭(300年代)。箸墓は卑弥呼のお墓じゃないかと言われている古墳なので、魏志倭人伝の記載とはちょっと食い違う感じもしないでもありませんが、少なくとも、これくらいには日本に馬はいた、と言っていいと思われます。これ以降の古墳からは、馬の骨や馬具がよく出てくるそうですしね。

聴講生のおひとりが、「馬はもちろん、犬は古くからいることはわかってますけど(むとう注:縄文時代の遺跡からもよく出てきますからね)、猫はいつから日本に来たんですか?」と聞かれると、

「猫はよくわかっていないんですよ。発掘していても猫の骨というのはあまり出てこない。でてきたときしてももっと新しい時代の骨なんじゃないか、と考えられてたんですね。というのも、埴輪で、猫とか出てこないんでね。犬とか馬形なんかはありますけど…。文献で、猫は平安時代には出てきますから、おそらく奈良時代終わりくらいには確実にいたと考えていいと思うんですけど、…っていう定説だったんですけどね。
実は数年前、古墳の中から須恵器、杯身(蓋付きの皿)の内側に、猫の足跡と思われるものが発見されたんですよ」

「タヌキとか、そういうのではなくてですか?」

「動物の専門家が見ても多分猫だろうってことなんですよね。そうなると、この遺跡は6世末から7世紀前半の古墳だったので、それくらいにはもう猫がいたんじゃないか、となりますけどね(笑)」

ええええ! 須恵器に猫の足跡ってめちゃくちゃかわいい!
なんかすごいピースフルじゃないですか?!

ディテイルを知りたくて、早速、ネットで検索してみると、ありましたありました。

兵庫県の姫路市にある、「見野古墳群」(6世紀~7世紀中ごろ)の横穴式石室から出土したんだそうですよ。発見したのは立命館大の学生。杯身(つきみ)と呼ばれる食器〔直径15センチ〕の内側に、白く丸い肉球らしき跡が5つ並んでいるのを発見したそうです。

ネットに残っているニュースの断片をいくつか見ますと、どうもその肉球の周りには爪のあとがないので、猫と特定していいんじゃないか、って感じになってるみたいです。猫は爪の出し入れができますからね。

いや、でも実際いたんじゃないかと思うんですよね。

だって、馬とか牛とか、船で運んでくるのに、猫がいないなんてなんかおかしい。

ご存じのように、猫はエジプトあたりにいるリビアヤマネコを家畜化したものと言われています。エジプトでは神としても尊崇されて大切にされましたが、その後徐々に世界中に広まりました。ちなみにちょっと調べてみますと、紀元前2世紀ぐらいにはお隣の中国に猫がいたことはわかってるんだそうです。

また、猫がさらに一般的に広がったのは7世紀くらいみたいですね…。航海時ネズミ駆除のために猫を乗せる、ということをしてたんだそうですが、それでさらに広まったみたいですね。

すると、この古墳の時代に該当しますねえ。

こりゃあ、いましたね。間違いなく。

20131030

 

file.43 d47食堂の「おはぎ」


いちにちいちあんこ台風がどうにかそれてくれて、昨日は晴れ間も見えましたね。

私は、昨日は100パーセント休日!という一日。午前中には新宿区が主催する「国際都市新宿 踊りの祭典2013」を見て、午後からは太田美術館で『笑いの浮世絵』展を堪能しました。

同行者は、いつものメンバー。

元同僚のS氏、ドキュメンタリー系TVディレクターのKさん、フリー編集者の先輩・Yさん。面白がりチーム集結!です。

『笑いの浮世絵』はまたあらためてご紹介したいと思いますが、今日はとにかくいちあんこ。

いつもおしゃれな情報に詳しいS氏とKさんが、夕ご飯にとおすすめカフェに連れて行ってくれました!渋谷ヒカリエにある「d47 食堂」さんです!

こちらは、「d design travel」という、新しいスタイルの旅行雑誌の編集部が提供する「食堂」。ヒカリエの8階にありますよ。

d design travelさんというのは

【「ロングライフデザインをテーマに活動する私たち D&DEPARTMENT PROJECT が、47都道府県それぞれにある、その土地に長く続く「個性」「らしさ」を、デザイン的観点から選びだして、観光ガイドとしてまとめたものが「d design travel」です。】(HPから抜粋)

という、なんだか素敵なムーブメントおこしつつあるデザイン集団さんのようです。

編集部セレクトの食堂のほかに、d47 museumというギャラリーも併設されてらっしゃるとのこと。
d47 museum今季のテーマは「富山県」なんだそうです。富山の名物が様々並んでいて、その一部は買うこともできます。

このギャラリーと連動して、「食堂」のほうでも、限定の定食が「富山県」となってました。こんなかんじで食堂は、各都道府県の名物を食べさせてくれる、というわけなのです。
大分・りゅうきゅう定食定食は、各都道府県のものが毎月登場。10種類くらいの種類の中から、私が選んだのは「大分県」。大分の名物「りゅうきゅう」をメインとしてお定食です。

「ぶりの刺身をタレに漬け込み薬味をのせた、郷土料理の「りゅうきゅう」。茄子とゴーヤを味噌で炒めた「おらんだ」と、クロメ豆腐の小鉢。」(HPより抜粋)

りゅうきゅうは、大分に行ったときにもいただいてとても美味しかったのですが、こちらのりゅうきゅうも負けず劣らず。ごはんも美味しいお米で、夢中になっていただいちゃいました。

さて、そして、ここで終わるわけにはいきません。

デザートです。そうです。「あんこ」でございます!

デザートメニューを見ると、「おはぎ」がありますよ。

でも、おなかがいっぱいなので、お萩はちょっと重い気がすると思って、思わず和栗のブラマンジュを頼んでしまいました(栗も大好き)。Yさんが頼んだおはぎを見ると…

おはぎおおおお!これがおはぎ??
桝の中にあんこがぎっしりですよ!?

これを見て、はた、と我に返りました。ブラマンジュとか頼んでる場合じゃないよ、私のあんこ者としての誇りはどこに行ってしまったの?

「…よかったら変えてあげようか?」

Yさんが、そんな私の気持ちを察してすっと助け船を出してくださいました。

「そうだよ、あんこ好きとか言ってブラマンジェたのんでるのは、むとうさんらしくないよ」

とSさん。そ、そ、そうだよねえ。私のバカバカバカ!!

そんなこんなで、やさしいYさんのお心遣いにより、無事、あんこ道の道から外れなくて済みました。…というわけで実食!
Yさん、ありがとうございます~!
おはぎぎっしりみっちり桝の中にあんこともち米が入っています。

あんこは…わああ、おいしい!この小豆すごい!すごくボトムが強いというか、かなりコクの強い味。でもすっきりとしてるんです。もたれない。
メニューをもう一度見ると、なるほど小豆もこだわりの逸品。北海道旭川産の「しゅまり小豆」なんだそうです。福居製餡所さんのあんこだそうですよ。うまひ・・・

そしてこのもち米のほうにも少し塩見があって、すごくいいコンビネーションです!
おはぎ掘り進めていくと、したのほうにもあんこが入ってますよ!嬉しいなあ!
一見重たく見えるかもしれませんが、すごくすっきりとしてるので、デザートとして全然ありです!

おなかは一杯だったはずなのに、ぺろりと平らげてしまいました。
渋谷に行ったら、絶対また食べにこよーっと。

d47 shokudo
http://www.hikarie8.com/d47shokudo/menu/2013/10/10.shtml

file.42 阿闍梨餅本舗・満月の「阿闍梨餅」


いつも超多忙なN編集長。本当にすごい八面六臂ぶりです。今年は担当されていた本が賞をとられたり、映画化されたり、とさらに多忙を極めておられます。まさに「嬉しい悲鳴」ってやつですよね。

わたしも、そんなN編集長のご多忙の一部を一緒にお仕事させてもらってます。少しでも私がお手伝いして、N編集長のお仕事が楽になったらいいなあ、と願いながら…。

さて、昨晩は夕方お邪魔して、ミーティングルームをお借りして作業。

N編集長が「京都のお土産」と言ってくださったのがこの「阿闍梨餅」です。
阿闍梨餅阿闍梨餅!!!

美味しいですよねえ。京都にいったら必ず買います。ちょっとあっためても美味しいんですよねえ、という私に、

N編集長「阿闍梨餅作ってる和菓子屋さんって、満月って名前だって知ってた?」

あ!そうなんですか~?
…ていうか、よく考えましたら、阿闍梨餅のお店、としか認知してませんでしたが、そりゃ、お店の名前がありますよね。

N編集長「でも、この阿闍梨餅がとてもよく売れて有名になったから、阿闍梨餅本舗って名乗ってもいるらしいよ」

なるほど。そういうことですか。さっそくググってみましたら、なるほど「阿闍梨餅本舗 京菓子 満月」というお名前になっております。
阿闍梨餅さあ、いただきますよお!

嬉しそうに食べようとする私の横で、N編集長がうんうん言いながら、先生からの直しを読み下そうとしておられます。かなりの赤字に相当体力を奪われているご様子……。

こんなときこそ、N編集長もあんこを召し上がればいいように思うのですが、編集長は完璧な酒党で、甘いものはいけない口なのです。
阿闍梨餅阿闍梨餅のあんこ、美味しいですよね!
本当に京都らしい上品なあんこです。これだけメジャーになって一般的なお土産品となっても、このあんこの品の良さは変わりません。すっきりとした後味です。

そして、またこの皮が美味しい!餅粉で作ったあんは、しっとりと、少しだけ伸びる感じがしますが、卵の入った焼き皮である、というそこのところは揺らぎません。美味しいなあ。

お蔭さまで、ちょっと元気になったので、うんうんうなって独り言を繰り返すN編集長のお仕事を少しお手伝いしました。

もう一個阿闍梨餅をいただいていたら、さらにもうちょっとお手伝いしたかもしれない、というのは内緒です……^^;。

N編集長、ご馳走様でした!

阿闍梨餅本舗 満月
http://www.ajyarimochi.com/

 

 

 

新プロジェクト「神仏探偵」、準備スタート!


 

よく日本には、『八百万(やおよろず)の神々』がいらっしゃるといいます。

日本人は、伝統的に木や岩、海、山…、すべてに神が宿っていると考えてきました。また、そういった日本古来の神さまと、外来の宗教(仏教など)の神仏が合体したりまた分身になったりして、習合しながらいろんな形でいらっしゃると考えます。

日本の文化は外来の文化を喜んで受け入れるというのが特徴かもしれません。新しく入ってきた神を受容し、一方でもともといた神も否定せずに形を変えて残し…、その「なんでもあり」が日本なんですよね。

私は個人的に、こういう多様性は大好きなんですけど、多様であるということは、一方でとても複雑な状況を生むことも意味します。ものすごく有名なのに、実はその正体がよくわからなくなっている神さまや、信仰がけっこうあるんですよね。

そんな「よくわからない」を、楽しみながら解き明かしちゃおうと、コラボプロジェクトを始動させるべく準備を始めました。その名も……

「神仏探偵」

プロジェクトです!

神仏の著作を多数執筆、編集されている本田さんと、本サイト代表のわたくしことむとうが始めるコラボ企画。手探りながらもワクワク、ドキドキです。
本田さんは、本カテゴリ記事で大プッシュさせていただいた『へんな仏像』の著者でらっしゃって、その記事をきっかけにお声掛けいただきました。ありがたいお話です、ほんと!

とはいえ、まだまだ準備段階。どんな風にコンセプトを固めていくかをつかむために、プレ取材をスタートしました。まだ皆さんにご報告する段ではないかもしれませんが、嬉しいので先走ってご報告です。

そんなわけで昨日は、記念すべき第一回プレ取材!東京都北区王子にいってきましたよ!

本田さんのご提案+ご案内で、有名な「王子稲荷社」「王子神社」を中心に、「お稲荷さん」についていろいろ取材しました。東京って、本当に奥深いですよね。王子ってサラリーマン時代に仕事で通っていた場所なんですけど、こんなに知らないことがあったなんてって感じです。
稲荷社(写真:装束稲荷)

とはいえ、謎は深まるばかりだったのですが、「わからないって面白い」主義なむとうとしては、大満足の一日でした。それにしてもお稲荷さんって、本当に謎な神仏ですわ…。

お稲荷さんと言ったら、狐を連想する方は多いと思いますが、お稲荷さんの本体がイコール狐、というわけでもないのです。キツネは本来、お稲荷さんのお使いとも乗り物とも言われます。
お狐さん(写真:王子稲荷社のお狐さん。「眉毛」があるとなんかおっさんぽい空気に)

 

……あれ??

じゃあ、お稲荷さんって神さまがいるの?それとも仏教の神さま??

それがですね。神さまでもあるし、仏教の神さまでもあるんです。
とにかく、お稲荷さんって複雑!ナゾの存在なのです!

こんなにも身近なのに、その正体がよくわからないっていうのは、よく考えてみたらおかしなことです。いったいどういうことなんでしょうか。

「神仏探偵」では、そんなナゾを探ってみたいと思っています。もちろん、尋ね歩く行程や、関係者の方、研究者の方にお話を聞く、そのこと自体を、皆さんと一緒に楽しめたらいいな、と思っております。

また詳細決まりましたら、ご報告させてくださいね。

栖鳳さんは「鳥と猫派」だという確信〔竹内栖鳳展〕


あまりにもすごすぎてその全貌がよくわからないと思っていた絵の巨人・竹内栖鳳さん。
大規模な回顧展が国立近代美術館で開催されています。
20130923-1
ふっと時間ができたので、今日行ってみました。
図らずとも、前期の最終日だったためか、三連休の最終日だったためか、かなりの盛況ぶり。栖鳳さんといえば、重要文化財にも指定されている「斑猫(はんびょう)」があまりにも有名ですね。
20130923-2このチラシの、猫ちゃんです。美人ですねえ。一度はぜひ見てみたい絵の一つです。私は勝手に「美人画」だと思ってます。これ。

ところが、ちょっと血の気が引きましたが、この「斑猫」は、前期では出品されていないということを、現地で知ったのです!!ああああ、やっぱり、ちゃんと出品リスト見ておけばよかったあああ。

でもまあ、ポスターにもなっている「金獅(きんじし)」等はありますし、今後きっちりこれるかどうかわからないし…ということで、えいやと入館。

それにしてもすごい人出でした!

フリー稼業の気安さで、ここ最近平日の昼間にいったりしてるので、こういう人では久しぶり。

あまりにも膨大ですし、さまざまな手法・画材のものがありますので、なかなかお伝えしにくいのですが、私は動物が好きなので、動物に絞ってあえていうならば、

「栖鳳さんは、鳥と猫類が好きだと思う」

ということ。

彼が描くものを見ていると、鳥類と獅子や虎、猫などの猫類は、本当にかっこいいし、美しいんですけど、それにたいして、ちょっとびっくりするくらいほかの動物、かわいくないんですよね。
#すみません、これは私見ですよ、あくまでも。

例えばウサギ。何点かありましたけど、すっごく上手ですけど、かわいくないんですよ。不思議なくらい。

それから犬。犬もすっごく上手なんですけど、かわいないんですよ、これまた。子犬もいましたけど、かわいくないの!すっごい上手だけど!

しかし、それに対して、本当にライオン、虎は美しい!!
そして、スズメもかなり何度も登場しましたが、実物以上に少々荒々しく、同時に可愛いのです。(砂浴びした後、羽を振り立ててるみたいな「羽バッサ~」なスズメが多数登場)
ニワトリやアヒルも、いい。荒々しさ+可愛さ。そんな塩梅。

ほんと面白いですよね。

2歳年下で、京都生まれの、とってもよく似た背景を持つ神坂雪佳なんて、もう、どの動物描いても丸っとしてかわいらしさがにじんじゃうんですけどね。特に雪佳の犬なんて、めちゃくちゃかわいいですけど。…いや、もちろん方向性違いますからね、比べるのはあれかもしれませんけど、改めて面白いなあ、と。

それにしても大規模な展覧会ですので、風景画も素晴らしいものがたくさん出てましたし、人物画も出てました。見る人によってかなり印象が違うんじゃないかと思います。

ぜひ、観に行ってみてくださいね!

竹内栖鳳展
会期:2013年9月3日(火)~10月14日(月)
http://seiho2013.jp/

『洛中洛外図』が一同揃い踏み!秋の東博特別展は必見です。


『洛中洛外図』は、戦国期、16世紀初頭から制作された屏風絵です。

京都市街地(洛中)、郊外(洛外)の風景や風俗などを描いたもので、当時の文化を知る上でも貴重ですし、建築史、美術史、社会史などあらゆる学問の上で研究されている貴重な美術品であり史料です。戦国期から、江戸時代にも多く制作されましたが、その中でもとくに有名なものが7点あります。

なんとその7点が、すべて揃ってしまうという展覧会が、10月から東博で開催されますよ!!ひゃ~!

ちなみにその7つというのは以下のラインナップです。

国宝『洛中洛外図屏風 上杉本』(狩野永徳筆)16世紀(山形・米沢市上杉博物館蔵)~11/4
重文『洛中洛外図屏風 勝興寺本』・17世紀(富山・勝興寺蔵)~11/4
重文『洛中洛外図屏風 歴博乙本』・16世紀(千葉・国立歴史民俗博物館) ~11/4
重文『洛中洛外図屏風 舟木本』(岩佐又兵衛筆)・17世紀(東京国立博物館蔵)
重文『洛中洛外図屏風 歴博甲本』・16世紀 (千葉・国立歴史民俗博物館) 11/6~
重文『洛中洛外図屏風 福岡市博本』・17世紀(福岡市博物館蔵)11/6~
重文『洛中洛外図屏風 池田本』・17世紀(岡山・林原美術館蔵)11/6~

まずは、なんといっても、織田信長が上杉謙信に送ったものとしてあまりにも有名な『上杉本』、国宝!
これを東京に居ながらにして見られるなんて、嬉しすぎます。
そして、おお、池田本も、ね、ありますよありますよ……。こういうのを並べて見られるってのは本当にありがたい話です。

と思ったら、……ちょっと待って!!

展示替えがあるじゃないですか!
しかも私が見たい上杉本は前期、池田本は後期と別れてる~~(涙)。まじすか~~(泣)。二回来いと、そういう話ですか。

うううう。そんなあ。

でも、行くしかないかなあ。

『京都―洛中洛外図と障壁画の美』展@東京国立博物館
会期:2013年10月8日(火) ~ 2013年12月1日(日)
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1610

file.36 紀の善の「クリームあんみつ」



いちにちいちあんこ
サラリーマン時代、私は9年ほど神楽坂に住んでいました。
ほんとに住みやすい良い街なんですよ~。
人情も残ってますしね。私が住んでいた小さなマンションは、大家さんがとにかく親切で、ほんとに良くしていただきました。引っ越した今もたまに連絡くださるぐらい。私は大家さんにとってまさに「店子」だったんだなあ、と温かい気持ちになります。
居心地が良すぎて同じマンションに結局9年。なかなかなもんですよね。

さて、そんな神楽坂には、美味しいお店がたくさんあります。
でも結構意外なことに、甘味どころとか、そういう場所が思ったより少なかったのです。ここ5年ぐらいでその様子はだいぶ様変わりしましたけどね。

そんな神楽坂で、今も昔も変わらずに、甘味どころといえばまず第一に名前が挙がるのが今日ご紹介する「紀の善」さんでしょう。

神楽坂を通りかかったので、久しぶりに紀の善さんに入ってみました。

ラッキーにも、すぐ座れました。珍しい!

私は、紀の善では必ず「抹茶ババロア」を注文してきました。なんでそうなったのかわからないけど、それが私の結論だったんですよね。
だけど、最近、いろんなところであんみつを食べるようにしているので、今回は久しぶりに[「クリームあんみつ」を注文してみました。
クリームあんみつこれこれ!わあ、ものすごく久しぶりですよ。「紀の善では抹茶ババロア」と決めてから10年余り、ここのあんみつ食べてなかったもんなあ。

こちらの蜜は、ものすごく甘さ控えめですから、はなから全部かけますよ(こういうことは忘れないワタクシ)。
くりーむあんみつそしてこしあん。こちらも甘さ控えめ。

それから、アイスクリームもほとんど甘味のないアイスクリームです。乳製品のコクが際立つアイスクリームです。

そういえば、抹茶ババロアも抹茶ババロアそのものにはほとんど甘味がなく、粒あんの甘味で全体をいただく感じだったなあ。

そして寒天をいただいて、記憶がすべて蘇りました。

そう、「紀の善では抹茶ババロア食べなくちゃ」という結論を出したのは、ちゃんと理由があったんですよ!

寒天です。寒天。そうだそうだ。

こちらの寒天は、海藻の香りがかなり残ってるものなんです。私にとっての寒天は、この海藻くささはできるだけ控えめなものが好みなので、こちらの寒天は苦手なんだったわ~。

しかも、蜜もあんこも甘さが控えめなので、海藻の海くささが際立ってしまってるんです。

もちろん好みだと思います。こういう寒天がお好きな方も多いんだと思いますが、私はあまり好まないのです。

それにたいして抹茶ババロアは、とにかく抹茶の味が濃厚で、あんことクリームと合わさった時に、ちょっとびっくりするようなバランスの妙を見せるお味なんです。

思い出した~~!それにしてもこんな大事なことを忘れてたなんて。

もちろん美味しいですよ。残さず完食させていただきました。だけど次回はやっぱり抹茶ババロアの原点に戻ろうと心に決めたのでした。

紀の善
http://www.kinozen.co.jp/01main.htm

レキシの3rdアルバム『レキミ』、最高です!


歴史ファン+音楽ファンとして看過できないアーティスト「レキシ」。
すみません。今まで黙ってましたが、ファンなのです。ライブも何回かいってます!はい!

硬派な歴史ファンのみなさんは「??」かもしれません。でも、歴史の楽しみ方ってこういうのがあってもいいんじゃないかな、と強く思うのです。
もちろんお好きな皆さんは、何をいまさらとおっしゃるかもしれませんが、3rdアルバムがこれまたかっこいいので、こちらでもご紹介したいと思います。
レキミ『レキミ』。

この「レキシ」は、もとSUPER BUTTER DOGのキーボードだった池田貴史さんこと池ちゃんのソロユニットです。とにかくファンキーで音楽センス最高で、おもろい人なのですが、その池ちゃんが「歴史好き」ゆえに始めたのがこの「レキシ」。
いけちゃん(今回の池ちゃんはとにかく姫押し)

『…池田貴史のソロプロジェクト。歴史好きの池ちゃんが繰り出す「歴史縛りファンクネスバンド」。 毎回豪華なゲストを迎えポップでグルーヴィーな作品を送り出している。ライヴではさらにMCも必見。』(HPより抜粋)

音楽はもう間違いないのですが、また歌詞がたまらんのです。とにかく歴史です。タイトル見てもらえばわかるかな~

01.大奥~ラビリンス~ feat. シャカッチ
02.姫君Shake! feat. 齋藤摩羅衛門 (斉藤和義)
03.武士ワンダーランド feat. カブキちゃん (Salyu)
04.ハニワニハ
05.恋に落ち武者 feat. 足軽先生 (いとうせいこう)
06.古墳へGO!
07.甘えん坊将軍
08.君がいない幕府 feat. お台所さま (真城めぐみ from HICKSVILLE)
09.LOVE弁慶
10.墾田永年私財法 feat. 田んぼマスター (山口 隆 from サンボマスター)

参加しているミュージシャンもすごいですよおお。これまで参加した人では、椎名林檎、Rhymester、サンボマスター、安藤裕子、野宮真貴、中村一義、忌野清志郎、スネオヘアー、斎藤和義、salyu、ハナレグミ、いとうせいこう…etc

今回もアツイ!墾田永年私財法とか、もうすごい。サンボマスターのアツさが「墾田永年私財法」をうたい上げます。私は今回この曲が一番好きかも。

ちなみにこんなPVも。

「姫君Shake!」 feat. 齋藤摩羅衛門 (斉藤和義)
https://www.youtube.com/watch?v=SdgDFHU_DFs
あはは!あほですわ~!

ちなみに私はこの曲が好き。2ndアルバムのですが、
「狩りから稲作へ」 下剋上RAP Version (feat.足軽先生 vs MC四天王)https://www.youtube.com/watch?v=7-jcddZU2BI

いやあ、ほんと。最高です!
ちなみに12月のライブは何としても行きたい!

『疾風に折れぬ花あり』(中村彰彦著)連載スタート!



文蔵

PHPさんより発行されている文芸雑誌(文庫)『文蔵』さん10月号にて、中村彰彦先生の新連載『疾風に折れぬ花あり』がスタートしました!!

中村彰彦先生といえば、NHK大河で改めて注目が集まっている「会津人」をはじめ、人間の生きざまをえがき続けてきた方。私は、編集者である以前に単なるファンとして、中村先生の著作はずっと拝読してきましたし、先生のえがき出される「見事な人間」を、自らの目標(おこがましいですけど;;)としてきました。
ありをりあるでも、「レキベン」で先生の『二つの山河』や『名君の碑』についてアツく語っちゃったりますし

そんな自分が、なんと、その憧れの先生の新連載のお手伝いをさせていただけることになったのです!本当に嬉しいです!!
お仕事くださったN編集長には本当に足を向けて寝られません!

今回の物語は戦国時代、武田信玄の娘・松姫(信松尼)が主人公。松姫は、武田・織田の蜜月時代に、信長の嗣子・信忠の許嫁でしたが、破談。その後は結婚せず、武田が滅びた後、姪たちを立派に育て上げ、武田旧家臣の精神的支柱になった見事な女性です。会津の藩祖・保科正之を守った人でもあります。そんな女性を、中村先生がどんな風に描かれるのか…。私はワクワクしながら先生の原稿を待ちました。

そして、先月半ばごろ。いよいよ先生から生原稿がファックスで届き、それを拝読した瞬間……。

うおおおおおおおお、という感動が身を駆け巡りました。

匂い立つような松姫さんがそこに立ち上がっておりました。そして、戦国時代の名族武田家の家中にあっただろう、空気。私は一気にその中へ引き込まれてしまいました。

これから、毎月この感動を誰よりも早く味わうことができるなんて!
本当にこれこそ編集者の特権です。なんて楽しいお仕事なんでしょう。

ぜひお手に取ってみてください~!

ちなみに、掲載されております『文蔵』は今号がなんと8周年記念!!毎月17日前後発売です。

『大日本魚類画集』の魚たち〔大野麥風展〕①日本の「博物画」の系譜


突然ですが、日本の博物画ってすごいかっこいいですよね。

東京国立博物館なんか行きますと、江戸時代の博物画を見ることができますが、ほんとに素晴らしい。・・・あ、でも博物画、というか本草学の図譜というべきですね。この場合。

江戸時代、日本中で「本草学」と呼ばれる学問が盛んにおこなわれました。
本草学というのは、もともとは中国で薬効のある動植物を研究する学問、医薬学みたいな感じで発展したものですね。日本にも奈良時代には伝わっていて、薬学の基本みたいになっていました。

16世紀末、中国の本草学の決定版『本草綱目(ほんぞうこうもく)』が上梓され(上海・1596)、間もなく日本にも輸入されました。それに触発されて日本でも本草学に本格的に取り組まれるようになり、その後、貝原益軒の『大和本草』、寺島良安『和漢三才図会』などが上梓され、独自の発展を遂げます。
#この『和漢三才図会』、今でいうと絵のついている百科事典みたいな感じです。薬効のある動植物だけでなく、星の名前や、食器の種類や酒の種類にいたるまで網羅されています。

江戸時代は、こんな感じで今でいうと「博物学」的なものが大流行したのですね。大名の間でも、自藩の魚介類、鳥類、植物などを図鑑としてまとめる作業が大流行。大名のやることですから、ものすごく丁寧な、密度の濃い絵を掲載した図譜が作られました。

っと、前置き長くなりましたが、今回はそんな日本の博物画のある種の到達点ともいえるんじゃないかという『大日本魚類画集』と、それに至るまでの日本の博物画の流れを改めて見直せる展覧会『大野麥風展』(東京ステーションギャラリー)のご紹介です!
大野麥風展もうチラシからして可愛いですよね。デザインがまた良し!!
チケットチケットもまた凝っていますね。こういう凝り方は、今回の趣旨ともとってもあっていると思います。もしこれを麥風さんが見たら喜んだんじゃないかな~。
「ありがとう、…でもこの口下から腹にかけての切り方はどうにかなりませんか」
なんていうんじゃないでしょうか?
すみません、100パーセント妄想ですけども。

図録もまたかわいいです。
図録この本体が薄い水色の透明プラスチックケースに入ってました。いいですねえ。いいですねえ。

さて、今回の展覧会は、前半では江戸時代(栗本丹洲)、明治・大正時代(平瀬與一郎)の博物画が展示されており、夭折した平成の天才博物画家・杉浦千里(1962年生まれ・享年39)の原画も展示されていました。

そして、いよいよ本題の麥風(ばくふう)さんの『大日本魚類画集』の登場です!
#ちなみにこの画集は、会員500名限定で1937年から1944年まで、6期に分けて、各期に12点、断続的に頒布されたものです。あれ?よく考えましたらこの期間って思い切り戦時中含んでますよ。ええええ??!

どわ~~~!すごすぎる!これが木製版画~~~!!!???
「原色木版二百度手刷り」ってのは、いったい???!!変態的にすごい多重刷りですよ。(ちなみに今の一般的な印刷は4枚の版で構成されています)
なんかもうすごすぎてよくわかりませんが、私が好きだなと思ったものを図録から引用してみますと。例えば、このナマズ。
なまずかわいいい!!!
なんかメルヘンな感じになっちゃってますけど(笑)。
江戸時代の鯰絵みたいな構図ですね。そして、水草の実がまるで宝石のように赤い。仏画のようにも見えます。
カツオこちらはカツオ。美しく張りのある体のラインと強い目が印象的です。そして構図がまたすごいですよね。フォーカスのかけ方というか…
麥風さん、カメラも持たせたら素敵な写真を撮ってくれそうな感じしますね。

(続く)

大野麥風展(~9/27) 東京ステーションギャラリー
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/now.html