file.62 ういろうの「クリームあんみつ」


いちにちいちあんこ
関東では第二位の古さを誇る和菓子屋「ういろう」

ついにやった……!

一言でいうと、そんな気持ちです。

先日、イシブカツで箱根にいったおり、乗り換えをした小田原で、どうしても行ってみたいんです!と石造(女)センパイにお願いして立ち寄った「ういろう」さん。別名「小田原ういろう」さん。

実は実は。
この「ういろう」さん、関東において第二位に古い創業年を誇るお菓子店で、かねてから行ってみたいと思っていたお店なのです!!!

「外郎(ういろう)」さんは、もともと中国(元)出身の外交官として活躍していた家柄で、元の滅亡とともに日本に帰化しました。その時、本姓の「陳」ではなく「外郎(ういろう)」と名乗り、それ以降、室町幕府に外交で仕えました。

ちなみにこの外郎家には秘伝の薬があり、それがよく聞くと朝廷で珍重されたんだそうです。そのため、その薬を「ういろう」、また、お客をもてなす時に出したオリジナルのお菓子もあってそのお菓子も「ういろう」と世間の人が呼んだ、そうです。

小田原の「ういろう」さんは、創業1504年。創業者は外郎家五代目、藤右衛門定治(とうえもんさだはる)。北条早雲の招きで小田原に招かれ、武士として京都との外交を担当しました。本業は武士ですけど、薬とお菓子の製法は一子相伝で小田原に伝えられたんだそうです。

全国で見ても、創業古い順では13位(むとう調べ)。ちなみに、関東で最古のお菓子屋さんは塩瀬総本家さん(全国では第7位)。

さらに余談ですが、現在も操業している最古のお店は、京都にあるあぶり餅の名店「一文字屋和助」さんで、創業は1000年(長保二年)。平安時代末期に創業されたお店が今もあるってすごいですよね。

薬店と併設の和菓子店
さて、前置き長くなってしまいましたが、その現在のういろうさんをご紹介してまいりますよ。

ういろう

本店は、もう少し駅から離れたところにあるそうですが、駅前店にお邪魔しました。

すごい!
なんと調剤薬局と併設なんですよ!!

こんなお店初めてみました。

このお店の中に、テイクアウトのお菓子を売るカウンターと、喫茶コーナー、それに薬局が併存してるのです。ちょっと不思議ですが、お店の歴史を考えますと、正しい。創業者からの家業を大切に今も守っておられるということですから、感心してしまいますね。

さて、こちらでは、さっそく「ういろう」を試食させてくださいました。

正直言って、私はあまりういろうは好きじゃないのです。ういろうというと名古屋土産という印象ですよね。たまにお土産でいただいても、「うーん、お餅が食べたい」って気持ちになってしまって、ね。まあ好みだと思いますけど。

しかし、こちらのういろうは違いました!

すごく美味しいんですよ!
目から鱗が落ちる、とはこのことです。なるほど、これはお餅にもないし、お麩にもない美味しさ、つまり「ういろうである」理由がちゃんとあります。

試食でいただいたのは黒砂糖のういろうで、
「こちらの黒砂糖のお味が、創業当時から変わらず作っております味でございます」
と店員さん。店員さんの対応がまた素晴らしい!言葉遣いが美しく、丁寧であったかい。

ううむ。さすが老舗。しかも武家出身のお店らしい質実な上品さです。

さて、それはともかく、喫茶コーナーに移動。
くりーむあんみつ

悩みましたが、ういろうを使ったお菓子はお土産で買うことにして、こちらではクリームあんみつをいただくことにしました。

「お、塩昆布。そして、黒文字…」と石造センパイ。
「あんみつやおしるこに、ちょっと箸休めを添えてくれるお店っていいよね」。そういってにっこり。

そして、この黒文字(菓子楊枝)。あんみつに黒文字って不思議な感じがしますが、ひょっとしたらこのイチゴや何かを食べるためかな、と言い合い、丁寧だなあと感心する二人。
あんみつ

イチゴ以外にも、バナナ、お花の形の羊羹と、たぶんういろうが載ってます。
あんみつ

これ、たぶんういろう。
ぎゅうひ??ういろう??と首を傾げながら食べました。でもたぶん、というかせっかくですからういろうであってほしい…。

あんみつ

そしてあんこ!!
これがまた濃厚で美味しい!

ういろうのお店ですが、このあんこもそうですし、羊羹も、また白あんこ(試食させてもらったのでした^^;)も美味しい。すべてに気配りされている感じです。全体的にとても丁寧で品がありますよ。

そして、ソフトクリームがまたよい!
甘さ控えめで、酷の強いソフトクリームで、抹茶の味もかなり強い!

いやあ、感心しました~!

近くにあったら週一で通います。ほんと、いいお店です!
二人とも大満足。幸せです。

そして帰りには、お土産にお店の方お勧めの「生ういろう」を買いました。明日はこちらもご紹介したいと思います♪

ういろう
http://www.uirou.co.jp/uiro.html

 

file.61  鶴屋吉信の「あんみつ」


 

いちにちいちあんこ

東京国立博物館の別館「平成館」の一階には、鶴屋吉信さんが出店しています。

こないだ、石田石造(女)センパイと一緒に見に来たときにも、やはりこちらであんこものを購入して一休みしましたが、今回もやはり素通りできませんでした。

こちらは何と言っても、いわゆる売店でその場でも食べられるようにしてます、お茶は自販機でお好きにどうぞ…、みたいなスタイル。

なので、あまりゆっくりいかにも京都な老舗の和菓子を味わう…という感じでもないのですが、いかにもイートインらしいメニュー「あんみつ」があります。

しかし、パックに入っている状態で630円もするので、私はこれまで二の足を踏んでました。それならみはしさんで、あったかいお茶をいただきながらあんみつ食べてもいいもんね、なんて思っちゃって。

しかし、ここはさすがの石造センパイ。

「すみません、あんみつ二つ!」

と颯爽と注文してくださいました。もちろんセンパイのおごりです。わああ、すみません!ありがとうございます!!…と恐縮しながらも、喜びを隠しきれないワタクシ…。
あんみつ

そしてこちらがそのあんみつ!!
テイクアウト用のあんみつを、ちょっとだけ気づかいプラスして提供してます~って感じです。

あんみつ

あけてみますと、二段構成。あんことえんどう豆、サクランボは二段目のお皿に。
これを全部寒天の上にのっけて、と…

あんみつ

黒みつかけたら、あら、本格的ですよ!!
シンプルにど直球なあんみつです。
あんみつおお!あんこ、美味しい!
さすがさすがの鶴屋吉信さん!寒天も、臭みがなくていいわあ。
えんどう豆もいいなあ。ふっくらしていて美味しい!品があるなあ…

「むとうさんは、あんみつにミカンって許せる派?」

えんどう豆の端正なおいしさを味わう私に、おもむろに問いかける石造センパイ。

「私は、ミカンとかそういう余計なものはいらない派だから、このすっきりした構成はすごくいいと思ったのよ」

確かに。このストレートな構成は、何もごまかしがきかないですし、潔いなあ。

そうですね、そうそう!!
と私もきりっと賛同の意を表しましたよ。

たぶん、トーハクにいったらまた寄ってしまう、と思いますw。

石造センパイ、ごちそうさまでした~!!

鶴屋吉信
http://www.turuya.co.jp/index.html

人間国宝展+クリーブランド美術館展@トーハクに行ってきました


トーハクで開催されている「人間国宝」展と「クリーブランド美術館」展をダブルで一気見しよう、と石田石造(女)センパイといってきました。

石造センパイとは、一緒に伝統工芸士の先生方の本を作って以来、イシブの活動はもちろんのこと、「美しいもの」を一緒にみてきた仲です。

20140221-1

特に今回の人間国宝展は絶対石造センパイと見たいなあ、と思い、お誘いしたのでした。

クリーブランド美術館展は、正直言って、竜頭蛇尾…というと怒られてしまうかもしれませんが、一番最初の部屋にあったものは、本当に逸品ぞろいで素晴らしいもので、ため息をついてしまうようなものも多数ありました。

しかし、それ以降は、……うううむ。……コンセプトが揺れちゃってるっていうか。ううむ。

もちろん私の個人的好み、関心の方向性とは合わない、とかそういうことなのかとも思いますけども。

「人間国宝」展も、同様。 正直言って???というかんじで。

特に、最初のほうに「第一章 古典への畏敬と挑戦」と銘打った展示なんですけどね、比較展示とでも言いましょうか、例えば本物の奈良三彩の壺(重文)と、現代風にアレンジされている加藤卓男さんの三彩花器を並べてるところからスタートなんです。その一歩目から「ええええ!?」とつぶやいてしまいました。ほかにも国宝の火焔型土器と、、現代の作品の壺を並びでおいてたり。
???? ?
火焔型土器は、そりゃもう大迫力の名品です。それと、並べるってなんか…どうなんでしょうか。

そんな風に思ったのは私たちだけではなかったようで、周りにいた人たちも何人か「並べておく意味あるの?」「人間国宝の作品だけでもいいんじゃないの?」という声をききました。

確かに、あえて博物館で開催されているわけで、だとしたら…ということで、所蔵品の中からこのような趣向を考えられたんだろうと思います。しかし、これでは本当の意図とは違った印象を、観覧者に与えてしまうのではないでしょうか。

なんだか複雑な思いになる展覧会でした。

むずかしいですね。ほんと。

東京国立博物館(~2/23まで開催)
www.tnm.jp/

file.60 うさぎやの「どらやき」


いちにちいちあんこ

仕事先で場所を借りて作業をしていると、Yさんがにこにこしながら…「むとうさん、どらやき食べますか?」とおっしゃる。

Yさんは、いかにも京都出身といった洗練されたオトナな男性なのですが、甘いものも大好きで、しかもカフェなんかにも詳しくて、さらに美味しいパン屋さんにも詳しい…という稀有の人。
そんなYさんが下さる甘いものは、間違いのないものばかりです。
#それか、チャレンジャーな組み合わせのものかどちらかw

はいはい、もちろん喜んでいただきまーす!といそいそ寄っていくと、

「うさぎやですよ♪」とさらににっこり。

うっほ~!まじっすか~!
心象風景としましては、万歳三唱、花畑をスキップで走り回る…、みたいなかんじ。
ワタシ的には最高レベルの喜びの状態…。

「著者がお土産でもってきてくださったので、おすそ分け」

「おおお!その先生、間違いなくいい人ですね!!」

そう叫ぶ私に、Yさん苦笑。……いや、だってだって。

上野うさぎやさんのどらやきは、御徒町と湯島の間あたりの、あそこまで行って手に入れないと買えませんから。近所でもない限りは、お土産に持っていこうと、とわざわざ足を運んで、買ってきてくださってるわけです!

以前、すずめやさんのどらやきを持って頼みごとに来た知人に感動して、ついつい骨を折ってしまったお話をしましたが、こちらの上野のうさぎやさんもまさにそう。

職人さんがていねいに材料を吟味し、美しく仕上げたどらやきは、繊細で日持ちもしませんから、その日買ってその日届ける、そういう昔ながらの心づくしのお土産なわけですよ~。

わーいわーい!
どらやき

こちらが、お馴染み、上野うさぎやさんのどらやきです!
いよっ!待ってました~~!
どらやき

見てください、この美しい生地の色!
きめ細やかな肌!

どらやき

柔らかくてしっとりふんわりな生地だということが、見てとれますよね! ううう、よだれ垂れそう。

どらやき

そして、あんこ!!

見てください、この美しいアズキの色を!アズキ本来の赤い色がよく残ってるでしょう??

このあんこが、ま~~~美味しいわけですよ!アズキの深いコクもありますが、とても上品でサラッとスルッとしてます。アズキの皮はあくまでも柔らかく、アズキの形を保つという役割に徹し、口の中ではするりとほどけます。舌に皮が当たるような感じはまるでありません。

今回、久しぶりに食べて改めて思いましたが、やはりこちらのどらやきはすごい!
生地の素晴らしさ、あんこの素晴らしさ、そしてそのバランスの妙。まさにパーフェクトです!

何度食べても、この感動ですよ。ほんとすごいです!

Yさん、本当にありがとうございました!

うさぎや
http://www.ueno-usagiya.jp/index.htm

file.59 銀座文明堂の「森幸四郎のどらやき」


いちにちいちあんこ

文明堂さんと言えば、カステラ。ですよね。

「カステラ一番、電話は二番、…」のCMソングは子供のころの定番。カステラと言えば文明堂、とインプットされています。

どちらかというと、庶民的。手の届くご馳走って印象ですが、数年前、京都の伝統工芸士の先生と銀座で食事をご一緒した時に、奥さまが「ちょっと文明堂に寄りたいの」とおっしゃる。

美食家の奥さまが文明堂?と、失礼ながら驚きましたが、そんな私を見て奥さまは「こちらの極上カステラは、それは美味しいの。東京でしか買えないのよ」、と微笑まれました。

その時奥さまが買ったカステラは、一本6000円くらいしたと記憶してます。

とと、今、文明堂さんのサイトを見ると、一番高いカステラは3990円なので、私の勘違いでしょうか?あれ??

あ、これひょっとして…と思って確認しましたら、私が見ていたのは「文明堂 東京」のHPでした。奥さまが立ち寄ったのは「銀座文明堂」です。間違いました^^;。
#文明堂さんは、暖簾分けで複数あるんです。

…と探してみると、あったあった!

6300円のカステラ!これです!!

「天下文明極上カステラ」。

そうそう、これですよ!
「カステラ一本6000円!?」と庶民な私は度肝を抜かれました。

……さてさて。

そんな思い出から、強引ですが今日のいちあんこでございます。

実は、この銀座文明堂には「食の人間国宝」と呼ばれる、「フードマイスター」の称号を与えられた職人さん「森幸四郎」さんがおられます。
#この、フードマイスターというのは、農林水産省が優秀な製品を作る伝統を守り続けている最高の製造技術者に与える称号なんだそうですね。

この「天下文明極上カステラ」も、この森幸四郎さんの長年の集大成ともいうべきレシピで作られてるんだそうです。やっぱり一度食べてみたいなあ。

さて、ちょっと敷居が高い極上カステラですが、私にも手の届く「森幸四郎」さん作品があります。それが本日の…
どらやき どらやき!!
です。一個210円。手が届きますね。

実は、東京駅の大丸で「森幸四郎」というお店で出されており、あんこ好きの間では前から評判で。ぜひとも一度食べてみたいと思っていたのです。

どらやき

封を開けてみますと、おおお、なんか香ばしい香り!!
普通のどらやきとはちょっと違います。生地もしっとりしているのが見ただけでわかります。

どらやき

横から見るとお分かりいただけますでしょうか。普通のどらやきよりも少し油分もあるのかな。しっとりしてますし、また、周囲に生地のこげの部分がヒラヒラついてます。これも普通とは違う。

どらやき

割ってみますと、この生地の部分、見てください!気泡のような部分がかなり多くあります。この生地は、和菓子のどらやき、というよりはやはり少し洋菓子っぽいテクスチャーなのです。しっかりと焼しめたパウンドケーキのような…。

食べてみますと、…やっぱり香ばしい!
カステラの茶色い部分って、キャラメリゼされた風味で少し苦みがあっておいしいですよね。全く同じではありませんが、遠くに共通点があります。

そして、醤油の風味も効いてます。遠くにですけど、確かにあります。

それから、卵が強い!

普通のどらやきより卵の量が多いんじゃないでしょうか。

これぞ「カステラ職人のどらやき」です。森さんの、まさにご自分の出自を語る逸品ですよ。

あんこは、甘さ控えめでほっこりしています。とても美味しいあんこですが、ここではわき役に徹していますね。主役はあくまでもこの生地です。

個人的には、上野うさぎやのどらやきのほうが王道だと思います。あれこそ和菓子のどらやきの最高峰でしょう。こちらのどらやきは、カステラ職人の心がこもった一品で、ある意味別物と思います。

なんか感動しちゃいました。ここに道あり、ですよ。

銀座文明堂
http://www.bunmeido.com/

 

 

 

 

 

 

大塚先生の包容力のハンパなさに感動/『弱き者の生き方』読感


最近時間を作っては五木寛之さんの近刊を読んでいます。

近刊、と言ってもここ20年に刊行されたもの、なので、近刊っていっていいのかわからないくらいの分量があります。なので、なかなか先が見えない状態^^;。…修行みたいです。

さて、そんな中、先日のシンポジウムでその存在のあまりのラブリーさに打ちのめされた大塚初重先生との対談本『弱き者の生き方』があったので、手に取りました。

20140201

もともと、五木先生はいろんな分野の第一人者と対談をされて本として出版される、というのはよくやられてますし、とても面白いのですが、この一冊は、その中でも飛びぬけてすごかった!!

まず、五木先生執筆のまえがきで、「あうっ」とあつくこみ上げるものがあり、ヤバい、なんかこの対談本違うぞ、と思いました。

五木先生は、大塚先生を「絶望におちいるのでもなく、希望にすがるのでもなく『微笑みながら往く』人」と評されます。

ムムム。なんて素晴らしい表現なんでしょうか。さすがだなあすごいなあ。

いやもう、本当にそういう経歴なのです。

大正生まれで、太平洋戦争にも17歳で従軍され、乗っていた輸送艦が潜水艦に撃沈されて九死に一生を得た経験を持つ…

と、ここまでは、すさまじいですけどない話ではないと思います。

でも、その時のことをつつみかくさず五木先生に語るのですが…

「足にしがみついてくる戦友を、私は両脚で燃えさかる船底に蹴り落としたんです。船底からは海軍の下士官のピーピーという笛の音が聞こえてくる。助けてくれという笛の音が…」

「私も甲板に上がってから大腿骨が折れて動けなくなった戦友を抱きかかえて助けたりはしそてるんです。だけどその時は船底が燃えていたんです。そこに落ちればあっという間に死ぬわけだから。その恐怖たるや。無我夢中ですよ。…(中略)…冷静になってから、おれの足にしがみついてきたあの兵隊は軍属たちは助かったか、たぶん亡くなっているな、と思うと、その感情は名状しがたいです。人殺しですから」

自分を「人殺し」だという大塚先生。

その大塚先生を前に、五木先生もいつに増して、何かこう、開いていくような感じがするのが、文章を見ても伝わってきます。

インタビューのお上手な方ですから、ほかのご本では場合によってはそういう意味でテクニカル的にすごいなあ、と思うところも感じないわけではありませんが、このお話を聞いた以降の五木先生は、いつになく言いにくい部分まで饒舌にご自身のことを話され…。

本書を読むにつれ、大塚先生の赤裸々な告白以降、五木先生の心が少し温まっていくのが感じられます。そして五木先生も、ほかの本では言ってこなかった引き揚げの時の体験を語ったりしますが、その語りは、間違いなく正しく受け止めてくれるであろう存在(大塚先生)がそこにあるからこそ、そこまで語れるんだ……と思ったのです。これだけ大きな人を、さらりと受け止めてしまう大塚先生の包容力ハンパないっていいますか…。

なんと言いましょう。

大塚先生が、どうしたあんなにラブリーなのか、本当によくわかりました。あのあたたかさが、何から来ているのか。

先だって、私は「まるで生き仏みたいでした」とかきましたが、本当にそういうことなんじゃないかと思うんです。

地獄を見てきたからこそ、あがいてきたからこそ、『微笑みながら夜をゆく』からこそ、あのラブリーな佇まいがある。

五木先生流に言えば「悪を抱えて生きる」からこそ、そこに光がある。人にも優しくなる。…そしてその光ややさしさは、ほかの誰かの「救いの火」になったり、道しるべになったりする。それは仏教的に言えば、「菩薩」のように。まさに生き仏ですよ!!

いやあ、本当に感動してしまいましたよ~~。

ぜひ、まだ読んでおられない方、手に取ってみてください!おすすめです!!

file.58 鶴屋吉信の「風流しるこ 花吹雪」


いちにちいちあんこ

鶴屋吉信さんと言えば、「京観世」があまりにも有名ですが、以前ご紹介した「つばらつばら」のような、今っぽさを取り入れた新しい名物もきっちり作りあげてらっしゃるお店です。

全国に販売店があり、このいかにも京都らしいお味とデザインをどこでも味わうことができますね。よく考えたらすごいことですよね!虎屋さんが東の雄と言えば、鶴屋吉信さんは西の雄ってかんじでしょうか。

さて、今日のいちあんこは、またもや友人Sちゃんがおすそ分けでくれたもの!!

Sちゃんのおすそ分けで、私のあんこ生活はそうとう潤っておりますよw。本当にありがとね~!
風流しるこ

さて、こちらです!「風流しるこ 花吹雪」!

わあ、こういうのもあるんですねえ。初めて見ましたよ。
サイトを見てみますと、「木々の露」という「おしること葛湯のセット」みたいです。私が頂いたのはその中の「風流しるこ」。いちばんオーソドックスな感じかな。ほかの二種はお茶味の「挽茶あられ」、みつ豆の具が葛湯に入っているみたいな「みつ豆葛湯」。どれもきれいでおいしそうです!

風流しるこ

あけてみますととこんな感じです。あられとこしあんが見えますね。
こちらにお湯を入れて、御汁粉にするってことみたい。

風流しるこ

さてさて。

お湯は沸騰したものを180ML。

#あ、でも実は食べ終わって気づいたんですけど、たぶんお湯の量100MLくらいしか入れてない気がします。あやや・・

そしてゆるゆるとかき混ぜますと、少しトロリとしてきました。

風流しるこ

中には小さな求肥が二つ入っています。あられの香ばしさと、求肥がポイントになっていて、いいかんじです。あんこも、さすが鶴屋吉信さん。安定の美味しさですよ。上質なあんこは風味がしっかりしていますけど、さらりとあと味がすっきりしています。

それにしてもきれいだなあ。「風流しるこ 花吹雪」の名前そのままに、まるで花びらのようにのように、これは米粉か何かでしょうか、あられ以外にも細かな白いものが浮いています。こういうちょっとしたしつらえが「京都」だなあ、と思っちゃうんですよね。ちょっとひと工夫と言いましょうか。

風流しるこそして、小豆も数粒入っていますが、これがまたしっかり美味しい!
ほんと、さすがですね。

こちら、いうなれば「おしるこ」と「葛湯」の間の和菓子…ってかんじかな?!

おしるこほど重くなく、葛湯よりは和菓子をいただいたなあという実態感がある、みたいな。

これをいただいてますと、久しぶりに京都に行きたいなあ…と思ってしまいます。
春になったら今年は京都に行かなければ!

花吹雪の京都。…乙ですねえ。

鶴屋吉信
http://www.turuya.co.jp/index.html

 

file.57 亀屋良長の「烏羽玉」


いちにちいちあんこ

またもや友人Sちゃんからおすそ分けをいただきました。

京都の和菓子屋さん亀屋良長さんの「烏羽玉(うばたま)」です!!

実はこれまでにも、何回か京都在住の先生にお土産でいただいたことがありまして。大好きな京都の和菓子です。いかにも京都らしい上品なあんこもの。

anko20140119-4

なんと言ってもこの名前がステキじゃないですか!

「烏羽玉」ですよ!

「烏羽玉」というのは、もともとはヒオウギという植物の種子のこと。黒い実なんだそうですが、その「烏羽玉が黒いこと」から、「闇」「夜」「夢」などにかかる枕詞として有名(射干玉の、と同意ですね)。

烏の羽のように、黒々と、濡れてみえるような黒い髪…
いいですねえ。乙ですねえ。
anko20140119-3

パッケージを開けてみますと、こんな風に入っています。この量は一回で食べちゃうなあ、ワタシ的には~。
烏羽玉こちらがその「烏羽玉」です!!

きれいですよね~~!つやつや~!

この写真ですと、ちょっと茶色が強い感じですが、実際には、もうちょっと黒く見えますよ。
こちらをものすごくわかりやすく言うなら、「ものすごく上品な、黒糖風味のあんこ玉」です。
烏羽玉なんと、1803年の創業以来の銘菓だそうです。200年変わらぬ味の美味しいあんこもの。それだけ長くみんなに愛されてきた味は伊達ではありません。

ちなみに波照間産の黒糖を使用されてるとのことで、黒糖の味はしっかりとありますが、非常にさわやかな香ばしい風味。いいお味です!

最近では、西洋菓子のパティシエさんを社員に迎え、別レーベルを作って、和と洋の融合を図ったりして、話題の亀屋良長さん。乳製品を和菓子に取り入れたりしてるんですって。

京都らしい革新的な試みが、今後も楽しみですね!

亀屋良長
http://www.kameya-yoshinaga.com/

 

 

 

 

 

file.56 つるし柿本舗愼栄の「深里のつるし柿」


 

いちにちいちあんこ

お砂糖が高価だったその昔、「甘さ」は工夫して作るものだったんですよね。

例えば、甘酒。お米に糀を入れて発酵させると、ものすごく甘くなります。
例えば、焼き芋。お芋をじっくり炭のなかで焼き上げると、さらに甘さが増します。
そして、干し柿。
渋い柿を寒い乾いた空気の中で干すと、ものすごく甘くなりますね。これ、発明した人、ほんとにすごい!

さて、そんなわけで、本日のいちにちいちあんこは、その干し柿をぜいたくに使ったあんこものです。
深里のつるし柿

以前から秩父在住の母の友人が、ことあるごとにもってきてくださるので、我が家では定番の「深里のつるし柿」です。

かなり大胆なお菓子でして…

深里のつるし柿

パッケージを開けますと、干し柿が一個コロン、と入っています。
ちゃんと柿のへたもついてますよ。
これのどこが一体「あんこもの」かと申しますと…

深里のつるし柿

柿の中に、あんこが入ってるんですね~~!!

つまり、皮が干し柿、ってわけですよ!!
なんかすごいでしょ??!

さらにすごいのは、これだけあんこが入ってるのに、食べ終わるその最後の瞬間まで、ほぼ干し柿の味で押し切られるということです!(笑)

あんこが甘くないからかな?と思って別に食べてみたら、あんこもちゃんと甘い、丁寧に作られた美味しいあんこなんですけど、干し柿と一緒に食べると、一気にその気配が遠くなってしまう、という…

干し柿、オソルベシ。

とはいえ、どちらにしていてもこれは、お持たせに最適です。

干し柿のヘルシーな甘さが、何かこう郷愁を誘ってくれるので、チョと目上のお世話になった方に手土産でもっていきたいってかんじ。一緒に食べたらきっと話も弾むだろう、と思うのです。

つるし柿本舗 愼栄
http://saitama.sweetsplaza.com/shop/%e3%81%a4%e3%82%8b%e3%81%97%e6%9f%bf%e6%9c%ac%e8%88%97%e3%80%80%e6%85%8e%e6%a0%84

 

 

file.55 昇月堂の「桜まんじゅう」とおまけのひと品


いちにちいちあんこ

三連休、いかがお過ごしでしょうか。

私は、昨日だけお休みして、友人と、埼玉県神川町にあります金鑚(カナサナ)神社と、金鑚大師こと大光普照寺に初詣しまして、その後、これまた神川町の名湯「白寿の湯」に行って、心も体もリフレッシュしてきました!

この流れは、とても気に入ってましてここ数年パターン化しています。白寿の湯のお湯はまるで美容液のようですし、カナサナ大師さん、カナサナ神社さん、ともにものすごく気持ちのいい場所で、ついつい訪れたくなっていまいます。

さらに、この白寿の湯では、売店を覗くのもまた楽しい。

近隣の和菓子屋さんのおまんじゅうなんかを気軽に買うことができます。
桜まんじゅう

さて、その中から今回私が選んだのは、こちらの「桜まんじゅう」!!
かわいいですよね?!!

白とピンクの皮で、さらに美しい桜の塩漬けが載ってます。
春って感じですよね。

こちらの製造元、昇月堂さんは、ネットで調べてみますとあまり情報は多くないのですが、どうも近隣のカンザクラで有名な桜山公園の近くにある和菓子屋さんのようです。
桜まんじゅう

白い皮のほうがこしあん、ピンク色のほうが粒あんでした。(粒あんのほうは写真撮るの忘れちゃいました。すみません^^;)

あんこは、つぶもこしも、とても丁寧で、優しいちゃんとした味です。しみじみと美味しい!

3個のパックが350円。このクオリティで一個120円くらいで買えるのは、ほんと良心的ですよ!!

白寿の湯
http://www.yugo.co.jp/spa/hakujyu/

昇月堂
群馬県藤岡市鬼石518-10
0274-52-2151

………………

さて、今回はちょっとおまけ。番外編として、もう一つご紹介します。

この白寿の湯の近くに、明治時代から続いているというヤマキ醸造という醤油屋さんがありまして、ちょっと軽く食べることもできると知り、お昼でもいただこうか、と足をのばしました。
ヤマキ醸造御用蔵行ってみましたら、こんな感じで、なんだかとても立派です。見かけも立派ですが、志も立派。安全でおいしい食品を作ろうと努力されてるみたいですよ。

「ヤマキ醸造『消費者御用蔵』で使用する原料は、農薬・化学肥料・除草剤など使用せず、土作りからこだわった自然農法(有機栽培)を親子2代に渡り約60年間の経験を持つ須賀さんが代表をする『豆太郎』グループで丹精込めた大豆・小麦・米など環境保全型農業の国産有機栽培・国産特別栽培の原料のみです。自然風味を大切に活かし、化学合成添加物など使用せず、『安心』・『安全』・『健康』にこだわった食品造りをしています」(HPより引用)

なるほどなあ。店内では、直売もしてまして、みそ・しょうゆ以外にお豆腐、クッキーやケーキなど様々なものを販売されてまして、そのほとんどが試食できるんですが、みんなとても美味しかった!!健康な味、と言いましょうか。

さて、私たちは、この直売所に併設されている「糀庵」でお昼をいただきました。キーマカレーと、豆乳うどんをいただいたんですが、食後のデザートに…と、「卯の花まんじゅう」も注文しました。
卯の花まんじゅう

こちらが卯の花まんじゅうです!
ホカホカと湯気が立っていて、なんともおいしそうでしょ??!
卯の花まんじゅうなんといっても、何を食べても丁寧で美味しい味でしたから、このおまんじゅうの中のあんもきっとおいしいに違いありませんよ。

と、ムフムフいいながら割ってみましてら…
卯の花まんじゅうええ!?卯の花じゃん!!

あんこじゃないじゃん!!

思わず叫ぶワタクシ。

そこで、はたと理解しました。私勘違いしてました。そもそもこのおまんじゅう、名前に「卯の花」ってついてるんだから気づけよ…、と。

個人的にはちょっと当てが外れてしまいましたが、ものすごーく大きい意味でいえば、これは「餡」です。豆を使ったあんこではありませんが、おまんじゅうの餡なんだから、広義にはあんこの一種と言えなくもない…と無理やりこじつけながら、パクリ。

あら。
美味しい。

中の卯の花は、非常にスタンダードな味付けのおからなんですけど、やはりおから自体が美味しいからでしょうか、とても深い味がします。そして何より、この皮がいい。少し甘めの皮です。通常のおまんじゅうよりも甘味が強いんですけど、その甘味と、この卯の花がよく合います。

これはいいわ。

例えば、お子さんへのおやつにも最適。体にいいし、腹持ちもいい。何より安心して食べさせられますね。それから、甘いものが苦手な方へのお土産にもおすすめ!と思います。

ヤマキ醸造御用蔵・糀庵
http://www.yamaki-co.com/user_data/chokubai.php