『仏像のお医者さん』/飯泉太子宗著(PHP文庫)


いつもお世話になっているPHP文庫のN編集長から「仏像の本でたから進呈するよ~」といただいたのが本書。

タイトルと著者のお名前を見て「あれ?これはひょっとして…」と思ってまえがきを拝見したら、…やっぱりそうだ! 『壊れても仏像』という単行本を改題して文庫化したのが本書、とあります。そういうことだったんですね!

わあ、懐かしいな~。
20140610かつて働いていた出版社で、仏教美術ものをがっつりやらせていただいていた時に、『壊れても仏像』が出版されたのです。もちろんいそいそと購入いたしました。
出版社を退職し、引越しをする際に手放してしまったので、思いがけずちょうだいしてとても嬉しい!

仏像を実際に修復されている方が、一般読者に向けて「仏像」について書かれる、というのは当時も今も、とても珍しいことですし、貴重です。

しかも、著者である飯泉さんは、当時まだ34歳とお若くて、その点でもとても珍しいことでした。内容も実はとても真面目なんですが、かなり砕けた表現をとられていて読みやすく、お人柄がしのばれる文章です。

ちなみに、余談ですが。
飯泉さんは独立される前、文化財の修復など行う美術院で長らくお勤めされておられたとプロフィールにあります。

……美術院さんか~。

これは全く私の個人的な思い出なのですが、美術院さんは何度かお写真を借りるなどのお願いで、お電話することがあったのですが、そのたびに応対してくださる方がみなさん丁寧・親切で、こころが洗われるような思いをしたものでした。

仏教美術にかかわらず、文化財掲載関係のお仕事してますと、たらいまわしにされたり、忘れられたり、ごくまれにですが関係のないことでお叱りを受けたり、…と、お電話して切ない気持ちになることもありましたが、美術院さんにお電話した中でそんな気持ちになったことはありません。

「こういう優しい方々が、仏像を修復してるんだな~、それはいいなあ~。正しいなあ~」

と一人頷きながら、悦に入ったものでした。飯泉さんもきっとそんな方なんじゃないかな、と勝手に想像してみたりして。

さて、僭越ですが、本書の特徴を私なりにご報告いたしますと。
やはり何より貴重なのは、仏像の基本的な知識はもちろんですが、仏像の修復がリアルタイムでどのようになされているか、というお話が掲載されていることです。こういったお話はなかなかうかがう機会はありません。
国指定の文化財なんかですと、まだそういうことを伺うチャンスはあるかもしれませんが、文化財になっていないもの、でも集落の皆さんが大切に守ってこられたお像についてなんかのお話は、なかなかうかがえないですよね。そんなお話もご披露されていたりして、とても面白いです。もちろん修理する当事者ならではのお話もこのご本ならではですね。

文庫化されるにあたって『仏像のお医者さん』というタイトルにされたのも、いいですよね!この新しいタイトルのイメージ通り、わかりやすく読めるように配慮された、「仏像そして修復」について書かれた貴重な一冊と思います。
仏像好きな皆さんには、特にお勧めです。もしまだ読んでいらっしゃらない方がいらしたら、ぜひ。文庫になってお手軽になりましたし!

法隆寺と東京藝術大学の「交流史」と「復興」/「法隆寺~祈りとかたち」展開催中


20140510現在開催中の『法隆寺~祈りとかたち』展。平日昼間に、ぽかりと時間ができたのでここぞとばかりに足をのばしました。

東京藝大美術館は、とても好きな美術館ですが、今回はどうだったかというと…

仏像好きの方はちょっと不完全燃焼かもしれません。ポスターになっている吉祥天如像と毘沙門天像をはじめ重要文化財のお像も結構来てましたけど、テーマが法隆寺の「仏像」である、と思ってきてしまうとかなり間違っちゃう感じ。

この展覧会で描かれる「ストーリー」の主題は、会場にはいればすぐにわかることなんですけど、「法隆寺と藝大の交流史~宝物修復、模写を中心に~」ってかんじなのです。

藝大の前身である東京美術学校の創設者である、岡倉天心が行った法隆寺の文化財調査のノートと、その該当品とわかるものを並べておく、とか。

法隆寺の宝物や仏像の複製を通じて、学び考えていた明治の芸術家たちの「学びの庭」たる「法隆寺」という視点。

そして、法隆寺の金堂の模写事業、そして金堂が燃えてしまった後の復元作業での交流、などなど、そのストーリーの中で法隆寺の宝物・仏像が置かれている、という風な感じですね。

パンフレットやポスターでは、そこのところはあまり強調されていませんので、行ってみて「あ、そうなんすか?」とちょっと驚く、という…

そこで頭を切り替えてみると、大変面白い展覧会だな、と思います。

特に、金堂の壁画復元に関しては、とても興味深かったです。会場の前の建物では『別品の祈り』と題された展示も無料で公開されてますので、ぜひ合わせてごらんください。ここでは在りし日の壁画が原寸で再現されています。これが本当に燃えてなかったらなあ、と思わずため息ついちゃいました。本当に美しい最高の仏画なんです。

こちらでその復元された仏壁画を拝見していて、そこで、はたと気づきました。

実はこの展示の表題には「東日本大震災復興記念・新潟中越地震復興10年」と書かれており、展示会場の冒頭で、まず「その復興を祈念して」という思いが書かれていました。そういったことと、金堂の被災・修復はオーバーラップするところがありますよね。そういう意味もあったんじゃないのかな。今度被災した文化財の修復などでも大きな役割を果たす藝大の覚悟表明、みたいな…。そういうことなんじゃないのかな。

…いやはや。いろいろ考えさせられる展示でした。
ぜひ足を運んでみてください!
『法隆寺~祈りとかたち』@東京藝術大学大学美術館(6/22まで)
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2014/horyuji/horyuji_ja.htm

『別品の祈り』@東京藝術大学大学美術館(6/22まで)
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2014/kondou/kondou_ja.htm

関東の皆さん、お待ちかね!「漫画家による仏の世界」展が増上寺で開催!


京都の東寺(教王護国寺)さんで開催されていた「漫画家による仏の世界」展が、東京では増上寺さんにて、5月1日より開催されています。

この、あまりにもユニークな展覧会はなにより、実行委員会が発表されている概要をご紹介するのが一番でしょう。以下にご紹介します。

「日本の「漫画」は、今やこの国を代表する文化として世界を席巻しています。この世界に誇れる漫画文化の継承として、現在活躍中の著名な漫画家先生に、それぞれのタッチで「仏」を描いていただき、有名寺院などで展示会を開催するプロジェクトがスタートいたしました。 第1回目は、漫画の祖といわれる「鳥獣人物戯画」が生み出された京都にこだわり、東寺(教王護国寺)で、平成26年3月20日からスタートしました。漫画家先生の中には、キャンパスに描く前に禊ぎをして、今回の作画に望んだ方もいらっしゃいます。今後は、全国の寺院で順次開催予定をしておりますので、漫画家が描いた様々な「仏」=「こころの世界」を、是非ご覧いただきたいと思います。 」(HPより引用)

スタートは、京都の東寺。「鳥獣戯画」にこだわるなら高山寺で開催したかったのではないかな~、なんて余計なことを考えてしまいますが、より一般の方がちょっと気になったので…と足をのばしていただくことを考えれば、東寺さんでの開催はベストチョイスかもしれませんね。

増上寺さんは、何しろ開明的なお寺さんで、イベントもよく開催されますので、なるほど、という感じです。増上寺さんのあとはどちらのお寺さんで開催されるんでしょう。それを考えるもの何やら楽しいですが…。

それにしても豪華な漫画家さん勢揃いです!!

絵師が寺院のために仏画やその周辺の絵を描くというのは、日本文化の大きな潮流といえますが、この事業もそこを意識されてのことではないか、と思います。

これはぜひとも観に行かないと!

会期が13日までと短いので、皆さんもぜひお見逃しなきよう…。

*詳しくはこちら!↓
HP;http://butsuga.jp/

「観音の里の祈りと暮らし」展@藝大美術館、開催中!


20140330

こんなに短い期間だなんて、ご存じない方も多いかもしれないので、慌ててアップします!

滋賀県の琵琶湖東から北岸は、観音さんがたくさん安置されていることで大変有名です。特に、高月町(現在は長浜市高月)は、「観音の里」として知られ、全国の仏像ファンの聖地と言ってもいいでしょう。

なぜ「観音の里」と呼ばれるかと申しますと、この辺りでは、観音さんを集落の皆さんで管理されていることが多いのですね。お寺さんがなくなっても、村人みんなで観音さんをお祀りしてきた、そんな場所で、それがまたいいのです!

拝観したい場合は、そのお堂に電話番号などが書かれているので、そこからお電話すると、当番の人(近所で輪番が多いみたい)が、カギを開けて見せてくれる、そんなシステム。
「うちの観音さんが一番きれいでしょ」
どこの堂守の人も、必ずそんなことをおっしゃられるんですが、なんかそれがたまらなくいいんですよね。

私も、高月は大好きで、初めていったのは20の春ですが、それ以来年に一度は訪れていました。ここ最近は関西に行く機会も減ってしまい、最後に行ったのはもう3年前になりますでしょうか。

今回の展示のすごいところは、市指定文化財も多く来ているということかもしれません。言い方を選ばずに言えば、国の指定文化財のようなメジャーなものは少ないのですが、普通だとなかなか足をのばせないエリアの「里の観音さん」たちが勢ぞろい。これらを東京にいながら一気に拝観できてしまうなんて、なかなかありえないお話と思います。

会期が短いので、難しいかもしれませんが、仏像ファンの皆さん、ぜひ観に行ってください!必見だと思いますよ~!

東京藝術大学美術館(4/13まで)
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2014/nagahama/nagahama_ja.htm

 

東京新聞ニュース『石仏5体の首折られる』!!!


信じられないニュースです!

埼玉県吉見町岩室観音にある石仏5体の首を何者かが折ったというのです。

『観音堂の石仏八十八体のうち、高さ約六十センチの五体が倒されて首の部分で折られていた。石仏の頭部は観音堂の周囲に投げ捨てられるなどしていた。観音堂手前の階段には折り鶴用の色紙が散乱し、記帳用の机の上に「おれの時代だ」などと書かれた色紙と石仏の頭部が置かれていた。』(東京新聞記事より引用)

石仏の頭部は観音堂の周囲に投げ捨てられ…って、えええええ!??
あらゆる意味で信じられません。そんなことする意味がどこにあるんでしょうか!!?

実は私にとってこの観音堂は子供のころからなじみの深い場所。よく遊びに行っていた場所です。小さな岩室の中にたくさんの石仏がいらっしゃるところで、普段は管理の方はいらっしゃらないながら、きれいにされていて気持ちのいいお堂があり、その周辺が岩の崖になっています。
お寺さんはもちろん周囲の皆さんが大切に守ってきたお像を、こんなに心無いことができるなんて、いったいどういうことなんでしょうか。

なんだかもう、腹が立ってしょうがありません。

詳しくはこちら↓
http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20131009/CK2013100902000146.html?ref=rank

 

 

新プロジェクト「神仏探偵」、準備スタート!


 

よく日本には、『八百万(やおよろず)の神々』がいらっしゃるといいます。

日本人は、伝統的に木や岩、海、山…、すべてに神が宿っていると考えてきました。また、そういった日本古来の神さまと、外来の宗教(仏教など)の神仏が合体したりまた分身になったりして、習合しながらいろんな形でいらっしゃると考えます。

日本の文化は外来の文化を喜んで受け入れるというのが特徴かもしれません。新しく入ってきた神を受容し、一方でもともといた神も否定せずに形を変えて残し…、その「なんでもあり」が日本なんですよね。

私は個人的に、こういう多様性は大好きなんですけど、多様であるということは、一方でとても複雑な状況を生むことも意味します。ものすごく有名なのに、実はその正体がよくわからなくなっている神さまや、信仰がけっこうあるんですよね。

そんな「よくわからない」を、楽しみながら解き明かしちゃおうと、コラボプロジェクトを始動させるべく準備を始めました。その名も……

「神仏探偵」

プロジェクトです!

神仏の著作を多数執筆、編集されている本田さんと、本サイト代表のわたくしことむとうが始めるコラボ企画。手探りながらもワクワク、ドキドキです。
本田さんは、本カテゴリ記事で大プッシュさせていただいた『へんな仏像』の著者でらっしゃって、その記事をきっかけにお声掛けいただきました。ありがたいお話です、ほんと!

とはいえ、まだまだ準備段階。どんな風にコンセプトを固めていくかをつかむために、プレ取材をスタートしました。まだ皆さんにご報告する段ではないかもしれませんが、嬉しいので先走ってご報告です。

そんなわけで昨日は、記念すべき第一回プレ取材!東京都北区王子にいってきましたよ!

本田さんのご提案+ご案内で、有名な「王子稲荷社」「王子神社」を中心に、「お稲荷さん」についていろいろ取材しました。東京って、本当に奥深いですよね。王子ってサラリーマン時代に仕事で通っていた場所なんですけど、こんなに知らないことがあったなんてって感じです。
稲荷社(写真:装束稲荷)

とはいえ、謎は深まるばかりだったのですが、「わからないって面白い」主義なむとうとしては、大満足の一日でした。それにしてもお稲荷さんって、本当に謎な神仏ですわ…。

お稲荷さんと言ったら、狐を連想する方は多いと思いますが、お稲荷さんの本体がイコール狐、というわけでもないのです。キツネは本来、お稲荷さんのお使いとも乗り物とも言われます。
お狐さん(写真:王子稲荷社のお狐さん。「眉毛」があるとなんかおっさんぽい空気に)

 

……あれ??

じゃあ、お稲荷さんって神さまがいるの?それとも仏教の神さま??

それがですね。神さまでもあるし、仏教の神さまでもあるんです。
とにかく、お稲荷さんって複雑!ナゾの存在なのです!

こんなにも身近なのに、その正体がよくわからないっていうのは、よく考えてみたらおかしなことです。いったいどういうことなんでしょうか。

「神仏探偵」では、そんなナゾを探ってみたいと思っています。もちろん、尋ね歩く行程や、関係者の方、研究者の方にお話を聞く、そのこと自体を、皆さんと一緒に楽しめたらいいな、と思っております。

また詳細決まりましたら、ご報告させてくださいね。

寺社好きのみなさん、絶対手に入れたほうがいいです!!なガイドブック登場。


 

尊敬する大先輩・Wさんが、すごい本を上梓されました。
祈りの回廊をゆくこちらです!!『奈良大和路 祈りの回廊を歩く~奈良町・高畑界隈~』。

帯はこれまた尊敬してやまない、奈良博の西山厚先生が寄せていらっしゃいます。

本書の特徴は、先生の言葉に凝縮されています。
「小さなお寺や神社に向けられた温かいまなざし。こんな本がほしかった。ずっと待っていた。奈良がもっともっと好きになる本です」

奈良町・高畑のあたりといえば、奈良にいったらまず歩くところだと思いますが、本書を読むと、いかに自分がものを分かっていなかったということがわかります。

拝読しながら、こんなところに、こんなすごい歴史の神社があったんだ!お祭りもあるんだ!え、こんなきれいな仏像があったの??…と付箋たてまくりですよ。関東在住の割には結構知ってるほうだと思いますが、まだまだ浅かったああ、という心地よい敗北感が…。
祈りの回廊(P6-7より引用)

そしてこのページをご覧ください。

本編の一番最初の見開き、最も大きな写真は、元興寺(たぶん本堂)の屋根ですよ!!
く~~っさっすが~~Wさん~~~!
確かにこのシリーズの最初を飾るにふさわしい写真です。元興寺、そして「行基葺き」。

元興寺は、ちょっと特別なお寺ですよね。元興寺はもともと現在の飛鳥寺だったお寺です。えっと、そういうとちょっとわかりにくいですよね。

蘇我馬子によって、日本最古の本格的な仏教寺院として建立された「法興寺」というお寺が飛鳥にあったのですが、平城京へ遷都する際に、一緒に引っ越して、名前を元興寺と改めたんですね。
(それで、うつされたものの、法興寺自体も残りまして、これは現在〔飛鳥寺〕と呼ばれてるわけなんですね)。

つまり、仏教興隆の第一歩ともいえるお寺さんなわけで、このお寺がまず最初に来るのはとても納得しますし、そしてその屋根が大きく出ているのもとても納得してしまうのです。というのも、この本堂(国宝)自体は鎌倉時代のものですが、屋根の瓦は、飛鳥時代の瓦でもって、一部葺いてるんです。そんな古い瓦が現役なんて、すごいですよね!
まさに、トップを飾るにふさわしい写真です。はああ、さすがだなあ。
祈りの回廊(P18-19より引用)

また、本書の特徴は、お寺さんだけでなく神社も取り上げているところ。一見小さくみえる神社でもこんなにすごい特徴、歴史、物語が詰まってるなんて、と改めて驚かされます。

そして、通常のガイドブックではまずスルーされてしまうであろう石造物もきっちりフォローしてくれてますよ!石部の魂も騒ぎます。付箋付箋、と……。

これだけ、しっかりとした情報が満載なのに、文章量も適度で、そんなに重たいという感じもないのがまた…。ガイドブックとしてとても使いやすそうですよ。もちろん地図もわかりやすいし。

「奈良では『ありがたいものはみんなありがたい』という素直な祈りの心が数えきれないほどの人々によって伝えられ、守られてきた。今改めて、奈良は町全体が『祈りの回廊』なのだと称えたい」(前ソデより引用)

なるほど。

そうなのです。これだけの多くの寺社を、奈良の人たちは伝え、守ってきたのです。それは簡単なことじゃありません。戦渦にあっても、途絶の危機にあっても、その時の誰かが踏ん張って伝えようとした。その結果が、この豊かな「祈りの回廊」なのですね!!

……Wさん、西山先生、これが「愛」ってやつですね!?

すみません、ちょっと興奮しすぎですね。いやでもそれくらい感動してしまったんです。

とりあえず、今度このガイドブックをもって、奈良町と高畑を歩きます。間違いなく私はもう一歩前へ進める気がするのです。

皆さんも、ぜひお手に取ってみてくださいね!!

 

あの飛鳥大仏が、ほぼ造立当時のままだった!!?


日本最古級の仏像としてまずその名前が挙がる、飛鳥寺の飛鳥大仏(重文)。

ただ、この飛鳥大仏は、鎌倉時代と江戸時代に大幅に補修されていると説明されてきて、造立当時のままなのは、お顔の部分だけ、と説明されてきました。

ところが、早稲田大学大橋一章教授の調査によると、どうも全体が造立当時のままの可能性が高いという結果が出たというのです!

早稲田大学の記事!↓
http://www.waseda.jp/jp/news12/121020_daibutsu.html

ざっくり要約してしまいますと、お顔も体も銅などの金属組成が同じなため、同時期に作られたんじゃないかという、結果。これは、すごいことです!

現在、飛鳥大仏の造立は609年とされています。609年に日本で作られた銅製の仏像となると、名実ともに最古と名乗るにふさわしい仏像ってことですよね!

最古であってもなくても、補修されていてもなくても、あのお像の素晴らしさは変わりませんが(私は飛鳥大仏大好きなのです^^)、今後のさらなる調査が楽しみです。

【朗報】清水寺奥ノ院の観音さまと新潟で、ご本尊と沖縄で会えちゃいますよ!!


仏像好きの皆さんはもうとっくにチェックされてましたか?
私、すっかり後ノリになっております。情けなや…

なんと、京都清水寺奥ノ院の秘仏・「三面千手観世音菩薩像」が新潟万代島美術館にて。
また、秘仏は展示されませんが、そのほかの貴重な仏像や曼荼羅図などが沖縄県立博物館・美術館にて公開されるというではありませんか!!!

なぜ、新潟と沖縄…。何かご縁がおありなんでしょうか?

沖縄は私にとっても第二の故郷のような場所ですので、こちらにもいきたい気持ちでいっぱいですが、なんと言いましても、奥の院の秘仏「三面千手観世音菩薩像」は、2000年も2009年も見逃してしまっているが故に、思わず指が震えるほどに衝撃を受けました。

いや、だって33年に一度のご開帳が本来ですから、ね。もう、生きてるうちに一度でも拝観できたらいいか…とほほ……。と落ち込んでいたところ、まさかのこの特別開帳ですもの。いやもう、なんかご褒美もらったような嬉しさですよ!

これはいかねばなりますまい!

新潟は10月14日まで。
沖縄は11月2日~12月8日!!

(詳しくは清水寺のHPにて ↓)
http://www.kiyomizudera.or.jp/news/2013/08/post-3.html
20130909

美術手帖の特集が「円空」ですよ!?


さて、前回に引き続き、お勧め本のご紹介です。
本というか、今回は雑誌ですね!

なんと、美術手帖さんですよ~!
20代のころ、現代美術が好きでよく買っていた美術雑誌ですが、なんと、2月号(ちょっと遅いですけども^^;)の第一特集が円空さんです!

何しろ、東京国立博物館では現在円空展を絶賛公開中ですから、紹介するなら今っちゃ今なんですけども。
あの美術手帖さんが、円空さんかあ~~。なんだか新鮮です。
だって、1月号の特集は会田誠さんですよ!ンで、3月号はフランシス・ベーコンだし!
そういう雑誌で「円空」という人の作品として円空仏を紹介している、というのが何か非常に面白いのです。

さらにもう一ひねりなのが、漫画家の井上雄彦さんと一緒に円空仏を見に行くという特集があったり、彫刻家棚田康司さんが、円空仏を研究している職人さんと一緒に円空仏を掘ってみる、という企画があったりしてね。
さらに、円空仏の基本データもちゃんと掲載してくれてますし、みうらじゅんさんががっちり寄稿もされていまして、とても充実感のある内容です。

さらに偶然に、と言っていいのかわかりませんが、
第二特集に「白隠展」が入ってます。
なんだか二度おいしい、みたいな感じですよお。

それにしても、久しぶりに美術手帖を買いました。
「雑誌」らしい頑張りが紙面を生き生きとさせている気がしていて、同業者の端くれとして、すごく嬉しくなっちゃいました。面白がったり、これいいよね?と読者に提案を投げかけるような部分。そういう部分があってこその出版ですよね。この美術手帖にはそんな提案がたくさんあるような気がしたのです。

今月中に、円空展は必ず見に行くつもりですが、こちらを読んで、とてもさわやかな気持ちをいただきました。ますます楽しみです!