muto の紹介

ありをりある.com編集長。アウトドア系出版社を経て、ありをる企画制作所を設立。編集者・ライターとして活動中。気になる分野は歴史・伝統文化・仏教・いろんな国のいろんな考え方など。好きな食べ物はあんことなす。趣味は三線弾きと剣道。

沖縄の歴史を感じるのに最適!グスク巡りの前に必ず読むべし!『世界遺産 グスク紀行』/岡田輝雄著(琉球新報社)


私は、沖縄が大好きです。初めて行ったときから、なんともいえぬ親近感を覚え、休みが取れては沖縄へ通い、しまいには沖縄民謡を習ったりしておりました。

私が沖縄に惹かれてしまうのは、どうしようもなく肌に合う、ということもありますが、もう一つ、沖縄の文化がとても魅力的だからだと思います。

特に私が沖縄の歴史にはまるきっかけとなったのが「グスク」です。

グスク、というのは「城」の字があてられますが、城塞(城塞でないものも含むのでちょっと複雑)のことで、北は奄美地方から、南は八重山地方の琉球弧の島々に、200以上あると言われています。

沖縄の中世、グスク時代とも呼ばれる群雄割拠の時代がありましたが(12世紀~)、この時代に多く作られました。

今も、その美しい城壁が残されてまして、さらにいまも聖所として尊崇の対象となっていて、そういう意味では御嶽(ウタキ)と同質、みたいな感じですね。

そうそう、忘れもしません。
初めて行ったのは中城(なかぐすく)でした。

残念ながら写真がありませんが、そのあまりにも美しい城壁にびっくりしてしまい、すっかり興奮して、座喜味グスク、今帰仁グスクと続けて観に行ってしまいました。

ほんとうにもう、そりゃ美しいのですよ!

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こういう時に限って、いい写真を発見できなかったのですが、上の写真は数年後に訪れた、今帰仁グスクの城壁(一部)です。

グスクの魅力は、その石積みの美しさもさることながら、御嶽(うたき)が必ず場内にあるということかもしれません。もう、建物は残っていませんが、ここは「遺跡」ではない。過去のものではなく、いまも、魂がちゃんとあるような気配があるのです。

よく、有名な遺跡を観に行くと、その壮麗な石造建築にウットリしながらも、「ここにはなにもない。過去のものなんだなあ」と感じて、ちょっと物悲しい気持ちになるのですが、グスクにはそれがありません。現役バリバリです。

よく、仏像を動かしたり、修理するときに「御霊抜き」という儀式を行います。これは仏像に宿る仏さんに一度ほかに遷っていただく、という儀式です。修理が終わったり、元の場所に戻ってきたら「御霊入れ」をする、ということをします。
その時の「御霊」にあたるようなモノが、グスクにはいまも変わらず宿っているように感じるんですね。

それは、コワいような、でもあたたかいような不思議な感覚です。

以来、私は沖縄に行くたびに、グスクを巡るようになりました。世界遺産にも指定されましたから、年々整備が進んで、ずいぶん足下も歩きやすくなりましたが、まだまだ昔ながらのグスクも多くあります。

沖縄に入ったことあるけど、グスクっていったことないなあ、という方がおられましたら、ぜひ巡ってみてください!

歴史好きでなくても、なんとも言えない不思議でパワフルな空間で、とても魅力的です。

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そんな方や、もしくはグスクは行ったことあるけれど、詳しいことは知らない、という方に、心からお勧めしますのがこの一冊!

『世界遺産 グスク紀行』(岡田輝雄著)です!!

「紀行」なんて書かれてますと、ライトな感じがしますけれども、ものすごくちゃんとした内容の、学術的な本です。写真も豊富で、説明も丁寧。

グスクを通じて、沖縄の歴史の相当克明なことを知ることもできますよ!

私も、実は久しぶりに、沖縄に行きたいなあ、と思い、書棚を見ていてふとこの本を手に取って、改めて唸りました。すごい本です!

数年前、この本を読んで、もう一度有名どころのグスクを巡りましたが、何度も見てきたはずなのに、気づくことがたくさんありました。本当に深い見方ができたと思います。

ぜひお手に取ってみてくださいね~!

苦しみもだえ孤独に落ちようとする若き日の仙厓。そんな仙厓を見守る先輩たちの「待つ」愛がたまりません!『仙厓 無法の禅』/玄侑宗久著


「仙厓(せんがい)」さんと言えば、江戸時代の禅僧で、おかしみのある洒脱な禅画を描き、今も大変人気の高いお方です。

百田尚樹先生の『海賊と呼ばれた男』の主人公のモデル、出光興産創業者・出光佐三氏は、仙厓さんの画をこよなく愛し、数多く収集しました。そのコレクションは、出光興産の美術館・出光美術館で所蔵され、代表作の多くを見ることができます。

さて、そんな仙厓さんですが、若いころは頭が良すぎて尖りまくった青年だったことは、意外と知られてないかもしれません。

本書は、そんな「知られざる」仙厓の前半生が、詳らかに語られています。というのも、著者の玄侑宗久先生ならでは、でしょう。

ご存じのように、玄侑宗久先生は臨済宗の僧侶でらっしゃいます。仙厓さんも臨済僧です。そして、先生が住職されている福島三春町の福聚寺は、仙厓さんの先輩が住職されていた場所であり、その先輩が仙厓に書かせたという聯が今も残っているのです。

先生は、そんなご縁も含め、以前から仙厓さんに私淑されていたとのことで、ある意味、「身内」のような近さでもって、仙厓その人と画と共に読み解いてくださいました。それが本書、『仙厓 無法の禅』です。

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表紙になっている画は、仙厓ファンの人もほとんどご存じないと思います。

福島市満願寺所蔵の「石きょう図」と言いますが、「石きょう」とは、もともと猟師だたった禅僧で、石きょう慧蔵(せっきょうえぞう)と言い、常に弓を携え、機に臨んでは「矢を看よ」と叫び、弓を構えたと言います。

殺生を許されないお坊さんが弓を構える、というこの大いなる矛盾……。

しかしこのエピソードはいかにも禅の世界という気がします。

先生もN編集長も、表紙の絵はどれにしようかと迷われましたが、やはり東北を行脚していた時の知られざる仙厓の姿を良く表している、本画を選ばれました。

30代半ばの時の絵ですから、老境に入り、円融無碍(えんゆうむげ)な境地で、自由自在に筆を動かした仙厓さんの画からしたら、とても若い画ですね。しかし、この未熟さが、青年・仙厓さんを良く表しています。

若いころの仙厓さんは、かなり扱いづらそうな青年です。とにかく頭がよく才能は抜群。でも、劣等感や競争心など、マイナス部分もかなり持ち合わせていたのではないかと思われます。それで、悩みぬいて無茶苦茶なことをしでかし孤独に落ちようとするのですが、優秀な3人の先輩たちは、そんな仙厓を見離すことはありませんでした。

甘やかすようなことはしない。
でも、しっかりと見守る。そして「待つ」。

………「愛」ですねえ~~~~!!!

「待つ」ということは、「信じている」ということでしょう。

仙厓さんは、やっぱり恵まれている人かもしれません。絶望の底にあってのたうっていても、その淵から必ず帰ってくる、立派な求道者になる、と信じてくれる人たち三人も、一歩も動かず泰然といてくれたのですから。

本書は、「〇△□」や「指月布袋」などの有名な絵もたくさん登場します。しかし、こういった青年期を越えて、あの境地に至ったのだと知ってから、改めて玄侑先生の解説でもってこの画をみますと、また違った画に見えてくる気がします。

私も編集をお手伝いしているうちに、どんどん見えてくるものが変わった気がしています。ぜひ皆さんにもそんな体験をしていただけたらと思います。

ぜひ、お手に取ってみてくださいね!

(むとう)

file.94 菓匠右門の「いも恋」


いちにちいちあんこ

東武東上線埼玉エリアに生まれ育った者にとって、川越は「ちょっと都会」な場所です。

中学生だと、友達とちょっと遠出をして、洋服を買いに行くと言ったら川越ですし、ちょっと気合入れて初詣、と言ったら川越・喜多院、鰻食べるなら川越です(あ、これはうちだけか)。

そんな川越、「川越と言ったらサツマイモ」というぐらい、一押しの名物はサツマイモ。芋の和菓子はもちろんのこと、イモ料理の専門店があったりして、どこに行ってもお土産といえば「イモ」「イモ」「イモ」……。

そんな川越にいつの間にか「いも恋」という名物ができておりました。

正直に言います。初めて食べたとき、「えっ、これ、熊本のいきなり団子じゃん」と思いました。
でも何度か食べるうちに、「とはいえ、美味しいもんは美味しい」と思うようになり、通っているジムの側にも支店があるので、最近ではふかしたてをちょいちょい買い食いしています。

そう言えば、本いちにちいちあんこでまだご紹介していないな、と思いつきまして、今日はいそいそといも恋を買いに行きました。

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いも恋だけじゃなくて、美味しそうだったので、めぐみまんじゅうとういうのも買ってしまいました。こちらは、こしあんで青えんどう豆のダイスが入っており、皮には白みそを入れて造っているそうですよ。サイズは小さめですが、すごく味わいに奥行きがあるので、満足感があります。美味しい!

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さて、こちらが「いも恋」です!

こちらの皮は、餅粉と長芋でできてるそうですが、お餅というよりも、餅粉で作ったお団子みたいな生地と言いますか…。すあまみたいな生地と言いますか…。

お餅とも、小麦粉とも違う、素朴でなかなか味わい深い生地なんです。

 

そしてなかはこんな感じ

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粒あんとサツマイモが重層的に入っています。粒あんは甘さ控えめ、サツマイモはとても甘い⇒あんことサツマイモの甘さが拮抗⇒絶妙なバランス、となっておりますよ!

こういうあんこものなら、子どもにも安心して食べさせられますね。ホントナチュラルなお味です。一個食べると、かなりお腹がふくれます。お菓子ながら主食級の重みありってかんじ。

今日も、ジムのあと食べたら、美味しかった~!

ジムで消費したカロリー、あっという間に回収終了、ですけどね。

菓匠右門
http://www.imokoi.com/index.html

file.93 ドライブイン不動小屋の「よもぎ餅」


いちにちいちあんこ

先日、山梨と埼玉の県境あたりにある秘境「西沢溪谷」に取材に行ってきました。同行のS社副編集長Nさんも、カメラマンのMさんも、腕っこきの大先輩でらっしゃいますが、お二人とも穏やかで優しいおにいさま方なので、緊張しながらも安心して後ろからついていきますよ!
(……早くも甘え始めてます^^;)

さて、そんなドキドキワクワクなお仕事ではありますが、もちろんあんこチェックは欠かさずに。

実は西沢溪谷は初めてなんですけど、昨年もこの近辺には来ております。その時に私は葡萄味の羊羹なるものを買って、ひとくち食べてあんまりなお味に悶絶。

アズキの味も何もなくて、ファンタグレープ味のあんこ的なもの、という感じで、もう……。今思い出しても、悔し涙が出てくるような思いです。

ちなみにあんまり悔しかったので、Nさんにも、そのブドウ羊羹を買った「道の駅三富」に立ち寄った時に、「Nさん、これです!!これですよ~!」と激しく訴えました。
#そんなこと訴えられても、困りますよね、ほんとすみません、Nさん。

さて、そんな口惜しさをばねに、今回はちょっと前もってリサーチをしておきました。そうしましたら、奇しくも、取材先のひとつである西沢溪谷の入り口にある「ドライブイン不動小屋」の「よもぎ餅」が美味しいらしい!との情報を見つけ、これはぜひともいただきたい、と心のメモに控えました。

駐車場を降りて、入口へと向かうと、目ざとい私は、早速お目当ての「よもぎ餅」を発見!

「え、ええ、Nさん!あのお餅買って行って、滝の前でいただきませんか!?私買いますので!」

と、少々うわずった声でお訊ねすると、優しいNさん、「あ、武藤さんあんこ好きだったよね、いいよ、買って食べよう」とにっこり。申し訳ないことに奢っていただいちゃいました。

ひゃあ、申し訳ないなあ。買っていただいちゃったあ、と恐縮しながらも、買っていただいたよもぎ餅をみてにんまり。そりゃもう綺麗な緑色で、西沢溪谷の宝石みたいな緑をそのまま映したかのようです。こりゃ、美味しいに違いない…

20150527-2さて、西沢溪谷は、なんと言っても滝が素晴らしいのです。
遊歩道を歩いていますと、大久保の滝、魚止滝、三重の滝、龍神の滝…と素晴らしい滝がこれでもかと続きます。そのもっとも奥にある「七ツ釜五段滝」は、本当に信じられないように美しい滝なんですが、それは誌面でのお楽しみということで。

上の写真でも、もうすでに十分美しいですけど、五段の滝はこの上をいっちゃいます!

さて、片道二時間。結構な岩場もありましたし、身体も結構疲れました。

そこで、登場しますのが、そうです!
よもぎ餅さんです!
20150527-3ポケットの中で少々潰れてしまいましたが、
その翡翠のような美しい緑色は変わらず!
20150527-4売店の方のお話しですと、こちらの蓬は西沢溪谷で朝摘んできたものを使ってるんだそうです。
この鮮やかさ、なるほどという感じですね!

20150527-5あんこは、もちろん粒あんです。

甘さ控えめで、小豆のコクがたってますね。言ってみれば、「ビターなあんこ」。よもぎのさわやかな苦みと絶妙なコンピネーションです。

あんこの量もどちらかというと控えめなので、甘いものはそれほどお好きじゃないと言う人でも、美味しくいただけるんじゃないかな、と思います。

それにしても、山で食べるあんこって、またひと味美味しくなる気がしますね。この空気と適度な疲労感がいいスパイスなのかも。ちょっと一息にはもってこいですね!

さてさて、帰り道は、沢の脇を行く往路に比べると、とても楽な道程です。

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木材や石などを運ぶために作られたというトロッコ道跡を歩いていきます。写真はカメラマンMさんとトロッコ跡。

そして往復ちょうど4時間で、また入口まで戻ってきました。

そこそこ岩場もあったりして、山登り気分も味わえますし、滝はきれいだし、よもぎ餅も美味しいし、西沢溪谷すっかり気に入っちゃいました!ぜひまた来たい!

そして、Nさん、Mさん、どうもありがとうございました~!

ドライブイン不動小屋
http://tabelog.com/yamanashi/A1901/A190102/19005988/

file.92 ちちやの「二色あんまんじゅう」


いちにちいちあんこ

温泉に必要なもの。

それはまず第一に、温泉ですよね。そりゃそうだ。

そして第二は、人によって割れてしまうかもしれませんが……
それはもう、
そうですよ、そうですよ。

「温泉まんじゅう」ですよね!?!

温泉街には間違いなく温泉まんじゅうがあり、あのホカホカした湯気がね、堪らない付加価値を加えてくれます。
幸せの湯気ですよ、あれこそ!

もうだいぶ経ってしまいましたが、4月のまだ少し肌寒いときに、群馬の草津温泉に行ってきました。

埼玉に生まれ育ちながら、お隣県にある草津温泉に行くのは初めてです。

草津温泉に行くと決まって、まず私がしたことは、ネットで、「群馬、草津温泉、温泉まんじゅう」と入力して検索することでした。

以前の私なら、有名どころのお店を全部試食して選んだと思いますが、最近は年を取って食が細くなってしまったので、あまりたくさん食べられないのです。なので、ここは絞り込みが必須です。

そして、熟考し、一つのお店を選び出しました。
それが今日ご紹介する「ちちや」さんです。

いやあ、それにしてもね。本当にヘタレになりましたよ。

宿でご飯食べたらもう、おなかいっぱいで食べきれないし、揚句買い食いしたくてもお腹が減らないからできないんですよ(涙)。
なのに、人生最大の体重なのはいったいなぜ?
……この不条理!(不条理じゃなくて年とったってことですわね)

なので、仕方なくお土産で買って帰りました。
20150517-1こちらがそのちちやさんの温泉まんじゅうです!

IMG_0661こちらは、二種類ありまして、白い方が「二色あんまんじゅう」、茶色い方は「茶まんじゅう」です。

私が熟考して、ちちやさんにしたのは、この「二色あんまんじゅう」がぜひとも食べたかったからです!

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これが、そのうわさ?の二色あん!
中央に見える黄色いあんは、栗あんで、その周りをアズキのこしあんで包んであります。
このあんこが絶妙で、正直栗あんの風味、消えちゃうんじゃないの?と食べる前は思っていましたが、大丈夫、しっかり栗あんの風味と味を感じます。
こしあんもさらりとほどけるような感じですが、これはこれで「ある」という感じ。なるほど、これは確かに「二色」あんです。いい意味でちゃんと独立しています。美味しいです。
皮のほうはもう柔らかくて、あるのかないのかわからないほどさらりとなくなってしまいます。

あああ、これはふかしたて、もっと美味しかっただろうなあ。

いくらお腹いっぱいでもこれ一個くらい食べられただろう、私のバカ!とあんこ者として自分をいたく叱りつけました。
これからはこういう失敗はしないようにしないと…

茶まんじゅうのほうも、美味しかったです。こちらは黒糖味の皮と粒あんの、非常にオーソドックスな温泉まんじゅうでしたよ。

次回、草津に行く機会があったら、両方とも深下手をいただきたいと、改めて心に誓いました。

そして、温泉まんじゅうは、やはり「LIVE」だと!
その場で味わうということが何より大切なのだ、と肝に銘じました。

ちちや
http://www.honke-chichiya.com/

 

file.91 赤福の「赤福餅」


いちにちいちあんこ

あんころもち……。

いいですよね、この言葉。ホント。このなんともいえない優しげなホワホワした語感。

あんこもち、じゃないですよ、あんこ「ろ」もち。

この「ろ」がいいじゃないです。
なんかコロコロして。

辞書で調べてみますとね、あんころもちは「餡転餅」とかきまして、「アズキの餡の中を転がして、外側に餡を付けた餅」をいうそうです。

まさに日本中津々浦々で食べられているあんこもの。

その中で、まさに「キングオブあんころもち」といえば、・・・そう!

皆さん、ご存じの「赤福餅」ですよね!!!

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もう先週のことになってしまいますが、ご本を担当させていただいております大阪在住のAさんがお土産にとくださったものです。Aさん、いつもありがとうございます~~!

いや~、もう。
本当に赤福っていいですよねえ!

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ピンク色の表紙をとりますとあらわれる、このセッティング。

ヘラが一個なのは、一人でこれを一気に食べなさい、という意味なんでしょうか。さすがの私もそれはちょっと無理だよな、といつも思います。

あまりにもメジャーなお土産もので、なんとなく麻痺しちゃいますけど、このおつつみ、しゃれてますよね。

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しおりのようについてくる、右上の紙。そろそろ田植えの時期という季節を感じさせてくれます。良いですねえ。

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そして、おなじみのこちら!!

あんこの表面の筋と言うのは、伊勢の五十鈴川の清流を表わしているんですって。ゆかしいですねえ。

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これで一個。ワンスクープ。

あんこはトロリとしたこしあん。柔らかいお餅にこのこしあんが絡んで、美味しい。いくらでもいただけちゃいます。
もちろん、お土産品として大量生産していくと、手作りのあんこにはなかなかかなわない、というところは正直言ってありますが、それでも十分美味しいと思います。

製造元の赤福さんは、創業が1707年という老舗です。
偽装問題などで、危機的な状況もあった赤福ですけど、ぜひ原点に立ち返って頑張っていただきたいですね!

ちなみに、喫茶コーナーで食べられるという夏季限定の「赤福氷」というのがありまして。
一度でいいから食べたい!……と毎年温かくなってきますと一度は考えるのでした。

赤福
http://www.akafuku.co.jp/

「疾風に折れぬ花あり」(中村彰彦著)第21回「祈る女」掲載!


ご紹介がすっかり後手後手になってしまっておりますが、毎月『文蔵』では、中村彰彦先生の「疾風に折れぬ花あり」が絶賛連載中です!

最新号(6月号)が発売になっておりますので、ご紹介していなかったその前のものも併せてご紹介させてください。

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本連載主人公は、武田家滅亡後、八王子まで逃げてきて出家した松姫こと、信松尼さん。

次から次へと襲い来る困難にも、たおやかに柳のようにしなやかに切り抜け、無事に養い子三人も育て上げました。

そして今や40代半ば。

自立のため、たつきの足しにと考え始めた養蚕だけに飽き足らず、染色、織りまでも学ぼうとしている姿が生き生きとえがかれます。

本連載で中村先生が描き出される「信松尼」というひとは、一見、絵にかいたような「良家のお姫様」といったたおやかで優しげな風情ながらも、その魂には父・信玄の豪胆さを受け継いだ女性です。これと決めたらやり通す、という意志の強い凛とした人。

いっぽうで、いくつになろうとも、無垢で世間知らずな一面もそのままな人、でもあるのです。
そして、そういう面もまた彼女の魅力でもあり、そんな彼女を助けようと一生懸命動いた人たちがいたことが大きいということも事実。

そこで、そんな人たちの中でも、特に重要な人物が、大久保十兵衛こと「大久保長安」です。

このひとは、一般的にどうしても金と女の話が先行し、「怪人物」といった印象の強い人ですが、先生が描き出すのはそれとは真逆ともいえるような、「目配りの大きい、まことに行き届いた」といった印象の人物です。

そして実際、信松尼さんにして上げた史実上のことを合わせて考えましても、長安さんという人の実情は、本作品に登場する「十兵衛」さんに近いのではないのかしら、と思われてきます。

中村先生のお作には、これぞ「歴史小説」という、非常に高度な史料の裏付けによる「中村流読み解き」があります。毎回「なるほど!」と目からウロコ。

ぜひ、お手に取ってみてくださいまし!

(むとう)

file.90  つる瀬の「豆大福と桜大福」


いちにちいちあんこ

谷中・根津・千駄木の谷根千と呼ばれるエリアは、下町と古き佳き「東京(とうけい)」の面影が残る場所で、私も大好きなエリアです。

実は、もし東京に戻るなら、このエリアがいいなあ、と思って家を探したりしてますが、正直言って、私のビンボー予算ではちょっと難しいのです。もうちょっとよさんがあったらなあとため息…。

そんな憧れの地に住む友人Eさんと久しぶりに千駄木ランチです。

かわいらしいカフェでたっぷりランチをいただくと、Eちゃんがなんとお土産を買っておいてくれたのでした!

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「つる瀬」さんの大福です!!

「一つはオーソドックスな豆大福で、もう一つは季節の、桜大福ですよ~」
とEちゃん。

さっそく、Eさんと別れて、仕事先に行きましてから、お夜食でいただくことにしました。

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ひや~!おいしそうですう~~!

大きさは割と小さいかな。
夜の間食でも、ペロリといただけちゃいますよ。

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こちらが桜大福です。

なんと生地の中に塩漬けの桜の葉が練りこんであります。練りこんで、というか葉っぱがかなり大きいまま入り込んでます。なので、ちゃんと桜の葉の食感も、味も、塩味も感じられますね。

あんこはこし餡です。さらりとしていてあっさり系。甘味も控えめで、あっという間にスルスルとおなかの中に入ってしまいますよ。3口で完食!

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そして、つる瀬さんの看板商品だというこちらの、豆大福!

あんこはつぶあんです。えんどう豆の塩味と甘さ控えめのあんこがよく合います。こちらもあっさりしていてスルスルとおなかの中に入ってしまいました。安定の3口完食。

いやあ、なんていうのかな~。

大きさは普通にあるんですけど、なんかこう、スルスル入って行ってしまうので…
この倍は食べられるような、そんなお味。そう考えたらこの美味しさは危険ですね!

Eさん、ありがとう!ご馳走様でした~!

つる瀬
http://tsuruse.jp/

 

仏教美術の源流に触れる!/「コルカタ・インド博物館所蔵 インドの仏」展@東京国立博物館(~5/17まで)


東京国立博物館表慶館にて行われている「インドの仏」展に行ってまいりました~!

表慶館と言われてもピンとこない方も多いかもしれませんが、本館の左側にあるこの美しい西洋建築でございますよ。

大正天皇(当時皇太子)のご成婚を祝して建築されたこちらは、日本初の本格的な美術館建築だそうで、重要文化財です。関東大震災にあっても倒壊しなかったといいますから、きらびやかなだけでなくとてもしっかりとした造りなんでしょうね。

好みはともかく、日本ではなかなかお目にかからないバロック様式の建築物です。貴重ですね。
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思い起こしても、なかなかこちらで展覧会というのは開催されていなかったと思います。私もそこそこトーハクさんにお邪魔してますが、昔、スリランカの仏像を招へいした時、メディア向けの説明会か何かでこちらに入ったことがあった、かな?という程度。

今回は全面的に使って、インドの仏像を見せていただけるということで、建物を見るという意味でもとても楽しみでした。

今回の展示で、とにかく印象深かったのは、非常に良質な初期仏教のレリーフや仏像を一堂にみられたことです。

すごくざっくり言ってしまえば、仏陀こと、ゴータマ・シッダールタが亡くなってからしばらくは、仏陀を「人」で表現することはなされませんでした。

最初期は、仏陀の遺骨を納めるストゥーパ(塔)を建立することで表現されました。

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(写真、左は「法輪の礼拝」、右は「菩提樹の礼拝」。法輪と菩提樹は仏陀を象徴的に表している)

そして、その後、ストゥーパとその周囲を荘厳(しょうごん)するために、周囲に彫刻がなされるようになったのですが、そこに彫刻されたのは本生話(釈迦の前世譚)、仏殿(釈迦の生涯)といった教化的なもので、仏陀そのものは仏足石、法輪といった象徴的なもので表現されていました。

そして、仏陀が亡くなってから500年ほど経ってから、ほとんど同時期に人体表現がされるようになります。AD1世紀ごろ、マトゥラー(インド北部)とガンダーラ(アフガニスタン東部からパキスタン北西部)です。

両方ともイラン系王朝「クシャーン朝」の支配下にありました。クシャーン朝は仏教を篤く庇護していたんですね。

20150423-2こちらの見開きだと分かりやすいですね。(図録P56-57より引用)

左の仏像がマトゥラー、右側がガンダーラのもの。日本では圧倒的にガンダーラが有名ですが、図録で見る限り左の仏像はAD1世紀ごろで、ガンダーラの仏像よりも1世紀ほど先行してますね。
クシャーン朝と言えば、仏教を庇護したカニシカ王が有名ですが、マトゥラーの仏像が出現したのは、彼の在位より前ということになります。ほほ~~。

こんなことを書きながら世界史の地図なんかを見直したりしてましたら、無性になつかし楽しい。ちょっと忘れがちでしたけど、私高校時代、世界史専攻だったんですよ。だから日本史はあんましちゃんとやってない。日本史は趣味でやってたんだよなあ。だからどうしても史料なんかを読めないんですよね。

とと、話しを戻しますけれども…。

このような初期仏教の流れをつぶさに見つつ、14世紀くらいまでの大きな流れを見ることができます。一部ミャンマーの仏像は16~19世紀のものが出ていますが、もうちょっと古いものはなかったのかな~。コルカタ博物館蔵、ということで仕方がないかな。

そういう意味では、スリランカの早い時期の仏像も少し出てるとよかったかな~。
いや、だからコルカタ博物館蔵なんだから仕方ないですよね。

と、私の個人的希望はともかく、とても面白い展覧会でした!

ぜひ、足を運んでみてくださいね。

東京国立博物館
コルカタ・インド博物館蔵 インドの仏展
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1701

file.89  喜八洲総本舗の「きんつば」


いちにちいちあんこ

大阪には美味しいものが多すぎて困ります。そして、大阪の方にはグルメが多いように思います。さすが「食の都」ですね。

そしてもちろん、あんこものも、さすが大阪です。

Aさんがご馳走してくださった、北新地に夜遅くまで開いている老舗のお餅やさん(この呼び方も上方っぽいですよね)いなば播七さんのおはぎは絶品でした。そして、Aさんに連れて行っていただいた、北浜の菊壽堂義信さんの高麗餅も絶品でした。

そして〆は、Y姐さんがお土産にと持たせてくださった喜八洲さんの「きんつば」!!

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大阪に行く前に、美味しい和菓子屋さんはどこかな~と調べたりしていた時に、確かに目にしたことのあるこの名前。

さすが姐さん!Aさん同様グルメです~!

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なんだかもう、包装もかっこいい。

「必要なものだけちゃんとある」というデザイン。この空気感は、なるほど、「きんつば」というシンプル直球型和菓子を表現するには最適というか…

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そしてこちらが「きんつば」!

写真だといまいち大きさが伝わらないかもしれませんが、ものすごく大きいです。関東でお目にかかるきんつばの約倍くらいのボリュームがあると思います!

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サイトを拝見しますと、こちらの小豆は北海道十勝産。大粒の小豆をしっかりと炊いて良質の砂糖で甘さは控えめに。確かに、ボリュームはしっかりとありますが、食べ始めてみますとあっさり一個いただけちゃいました。

それにしましても、こちらのきんつばをいただいていて、また今回いただいた大阪の老舗二店の名物二品をいただいてみて、あんこや和菓子の世界にははっきりと、「大阪らしさ」というものがある、と感じました。

伝統的な料理はもちろんですが、その土地の人が長らく愛してきたお菓子、または日本酒といったものには、その土地の風土・美意識が込められて居ると思います。私のような一見のお客にとっては、その土地の文化を感じるのにとても分かりやすく、ありがたいものです。

今回も、三つの大坂を代表する老舗のお味をいただくことで、その一端に触れることが出来たように思います。

大阪のあんこは、丁寧に手間をかけて造られていますが、それをあえて分からないように作っているような、そんな気がします。すごいんですよ、貴重なんですよ、心して食べなさい、というよりも、「たくさん食べてな、おいしいやろ?」「わーありがと~!めっちゃおいしい~!」なんてはしゃぎながらいただけるような、そんなかんじ。

入口はものすごくフランクでフレンドリー、でも、その気安さの向こうには非常に硬質な美意識のかたまりを感じます。なにしろ大阪は京都以上に古い土地ですからね…。

いやあ、ほんともう、大阪大好きになっちゃいました。

Aさん、Y姐さん、本当にありがとうございました!
またよろしくお願いします~♥。

喜八洲総本舗

http://www.kiyasu.jp/index.html